
「料金払ったし、おー繋がった繋がった。
って、瀬名の姐御からめっちゃ鬼電着てんじゃん怖っ!
メッセージもどんだけ寄越してんだよ」

「『嫌な予感がしてる』ねぇ……あの人こういう所だけは鋭いよな」

「ま、とりあえず返信しとくか……」
……………
…………
………
……
…

「お、ノボルからじゃん。やっと返事寄越したかよアイツ」
曰く。
何故か内容は詳しく言えないようだが泊まり込みのバイトが決まって二週間拘束されてたらしい。
スマホの通信を停められてたのはその前かららしいが。
とりま、やっと連絡ついたし元気そうで何よりだ。
おまけにバイト先で彼女もできたらしい。
いや厳密には“将来を約束した仲”だとか。婚約者か。

「アイツに彼女ねぇ。よほど寛大な子なんだろうな」
悪いヤツじゃないけど借金まみれでカツカツな暮らししてたのは知ってたし。
でも、今回のバイトの報酬で大体の返済ができるらしい。
どんだけ給料の良いバイトだったんだよ。

「は?うちで働きたいから三嶋の夫婦に頼んでくれって?」
中卒のあたしが採用されたなら高卒の自分はもっといけるだろと来た。
どうやらまともな職場で働きたいらしい。
うちはまともかと訊かれると怪しいが。
あたしは雑用係だし。

「アイツAIとか異世界渡航の技術の話とかされてもわかんねーんじゃねーかな。
あたしもわかんねーけど」
でもまあ真面目に働く気になったのは良い事だし、一応、三嶋の夫婦に話はしておこうと思うが。

「『あと車へんに“楽”を難しくしたようなのをくっつけた漢字に“過”が付いてる単語って何て読むんだ』って?
あたしが知るかバカ」
その説明でわかるわけねーだろ。自分で検索しろ。
後でトロワに検索してもらったら恐らく『轢過』って言葉だろうとのこと。
意味を聞いたら物騒なワードだった。マジで何のバイトしてたんだよアイツ。

「――まあ、でも」
無事で良かった。
ほっと胸を撫で下ろした午後だった。