Chapter06-05

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-11 04:00:00

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「答えてくれてありがとう」

それが答えそのものに向けられたものか、
ここまで付き合った事へのものかは分からない。
墓守はあなたの言葉に、それ以上踏み込まなかった。

夜の風が吹いたように、
白い部屋の空気が、ほんの少し揺れる。

カラン。

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「コレはね、眠りたい子には眠りを与えるものなんだ。
 望まれた分だけ、応えるだけのモノに過ぎない」

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「何が正しい終わりかを決めたり、
 意味を与えたりする事は、コレの役目じゃない。

 意味を探して、悩んで、選ぶのは……
 いつだって、生きているものたちの仕事だ」

夜色の瞳が、やわらかく細まる。

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「……最後のトイカケにしよう」

カンテラの灯が、ゆっくりと脈打つ。

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「もしも終わりを選べるとしたら──
 君は、どんな風に終わりたい?

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「静かな眠りか。誰かの手を握ったままか。
 役目を果たした後か。
 それとも……まだ足りないと、抗う終わりか」

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「どれが正しいとか、立派だとか、コレは言わないよ。
 ただ、それが“君の望み”である事だけが大事なんだ」

一拍。

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君は、どんな終わりを望んでいる?


──あなたはどのような終わりを望んでいますか?
Answer
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「まだ私は終わるつもりなんてないし、
 終わり方に関しては、
 側近とある程度は相談している」

 死が身近にあったからこそ、
 終わりについての思考は、幾度も、幾度も。

 だから最後のトイカケには、
 こう答えましょう。

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「穏やかなる眠りを」

 いつかこの身が、
 猛毒に蝕まれ切って腐り落ちるのであれば。

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「この国の改革を満足いくまで進めて、
 出来るところまで足掻いて、足掻いて……
 その果てに、黄昏の足音を再び聞いたなら」

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「苦痛の中で腐り落ちる前に、
 私は、安楽死を望むんだ」

 死は、自分にとって救済だ。
 苦痛に終止符を打ってくれるものだ。
 “その時”を、自分の手で選べたのなら。

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「この猛毒が急進行する前に、
 きっとある程度余裕はあるはずだ。
 だから予兆を感じたら、準備をする。
──穏やかなる、終末への

 まだ、“その時”は遠いけれど。
 自身が老いて死ぬ未来は、想像がつかぬものだから。

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「長くはない生。
 鮮やかに咲いて穏やかに散れたら、
 きっと私に後悔はない」

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「それが、私の望む“終わり”だよ」

 まだ、心臓は脈打っている。
 今はまだ、まだ、まだ。