Chapter06-03

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-11 04:00:00

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墓守はゆっくりと瞬きをひとつした。

それは人の仕草をなぞったものだったが、
人間のそれとは少し距離があるようにも見える。

カンテラの青い灯が、静かに揺れる。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

墓守は否定もしないし、肯定もしない。
それらを並べて、等しい重さで掌に載せているようだった。
その声には、感情らしい抑揚はほとんど無い。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

墓守はカンテラを持つ手を少しだけ上げる。
青い光を受けた枯れ木の意匠は、葉をつけている様にも見えた。

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死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

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「そしたら、次はここを訊こうか」


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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」

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「天国でも、地獄でも、
 次の生でも、あるいは……ただの静けさでもいい」


──あなたは死の向こう側に「続き」があると思いますか?
Answer
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「…………そうだね。
 死とは不可逆なものであり、
 一度死んだらもう戻れない。
 蘇りの奇跡なんて存在しない」

 頷きつつ。
 次なる問いには、肯定を。

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「思っている」
「私の世界の言い伝えが、
 そのようなものだからさ」

 静かな声で、語りましょう。

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「私の世界で…………
 死後、人間は冥界に向かい、
 そこで冥王の裁きを受けて、
 その後の行き先が決定するんだ」

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「善と判断された人間は、
 記憶も何もかもまっさらになって、
 人間として新しく生まれ変わる」

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「悪と判断された人間は、
 その罪が浄化されるまで、
 冥界で延々と働き続ける」

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「大罪人と判断された人間は、
 魔界に堕とされ魔族となり、
 二度と明るい世界には出られない」

 私は、と胸に手を当てる。

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「これまでの道も、
 悪くはなかった……とは思うけど」

「もしも人間として
 生まれ変われるのなら──」

 今度こそ親に愛されたいな、と。
 ちいさな声で、つぶやいた。

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「…………戯言だ、忘れてくれ」