Chapter06-01

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-11 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

相も変わらない様子の白い部屋には
いつも通り椅子が一つだけ。
座らずとも、答えずとも、あなたが望めば元の場所には戻れよう。
もし座るのならいつも通り──壁が開けて、〝向こう側〟に姿がひとつ。

そこにいるのは──人型ではあったが、どこか人らしくないものだった。
白い部屋の中、静かに座っているその姿は真っ黒な影法師のよう。
人では無く、どこか──夜そのものがそこに居るような、そう思わせる姿であった。

奇妙なものではあるが、それはきっとあなたを恐れさせるものではなく、
どこか安心感のあるものに感じられるのかもしれない。

夜空に月が浮かぶように真っ白な顔、
あなたの事をじっと見据えるひとみは夜の色。
驚く様子も慌てる様子も無く、そこに静かに在った。

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「やあ。いい夜だね」

中性的な声は響かず静かなもの。
あなたの言葉を待つように暫くじっとあなたを見詰めた後に、
ややわざとらしく、人間を模すように首を傾げる。
今までの問い人と同様、あまりあなたの事を正確に認識出来ていないのだろう。

とはいえ、ソレにとってその事はさして問題ではないらしい、
様子を窺った後、まっくろな口を開く。

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「コレはどうやら君に問い掛けるために呼ばれたらしい。
 ──ひとまずコレの事は『墓守はかもり』と呼んでくれればいいよ。
 本来は眠りたい子を眠らせるためのものなのだけどね」

コレ、というのは恐らく一人称であるのだろう。
墓守を名乗ったその影は、区切るようにカランと音を鳴らす。
手に持った銀色のカンテラの音のようだった。
枯木の意匠のカンテラに、青い光が点っている。

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君にとって死は、どれぐらい遠いものだろう?

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「ずっと遠くの終着点にあるものだろうか。
 いつでも首筋に感じるものだろうか。
 それとも、毎夜のように訪れるものだろうか」


──あなたにとって死とはどれぐらい遠いものですか?
Answer
 また、見覚えのある白の空間。
 慣れてきた。
 少年は椅子に座り、“向こう側”を見る。
 その夜色の姿を、静かに見つめる。

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「…………墓守」
「……シャルティオだ。よろしく」

 会釈、ひとつ。
 死に纏わる存在か? そんな思考をしつつ。
 そして向けられた、トイカケ。

 今回は、その類の話題のようだな。

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「私にとって……死は、
 常に身近にあるものだよ」

 胸に左手を当てる。
 流れる猛毒の血液を、思う。

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「私は昔から身体が弱いし……
 私の持つ特別な体質で、
 死に掛けたことだってあるし」

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「今は、“革命王”という立場があるから、
 他者から命を狙われるなんてザラにある。
 改革を起こしたのならば、
 反感を買わずにはいられない」

 だから、と続ける。

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「私にとって、死とは、黄昏とは、
 常に身近にあるものだ。
 遠くへ遣ることの出来ないものだ」

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「簡単に死んでやるつもりこそないが……
 どの道、私は、
 長くは生きられないのだろうよ」
「覚悟は出来ている」

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「短い命ならば短いなりに、
 鮮やかに咲き切って散るだけだ」