「音の反響あり。重力も正常……」
目が覚めると謎の空間に居た。辺り一面が雪の様に白く真ん中に椅子だけが置かれた部屋。
「……あまりここに居ると気が狂いそうだ」
しかし、こういう時こそ冷静にならなければいけない。
この空間がなんなのか、どうやったら脱出出来るのかと。
そこで、僕はこの空間がなんなのかという仮説を立ててみた。
仮説1:高度な仮想空間
→ 仮想空間と言うにはあまりにもリアルすぎる。違和感もない。
仮説2:集団催眠
→ 五人同時に同一幻覚は統計的に不可能。それにもしそのような能力を持っている者が居たら雪の能力で検知できるはず
仮説3:異次元転移
→ 証拠なし。だが否定もできない。今の所この説が最有力候補
仮説4:意識だけの世界
→ ならばこの椅子がトリガーか?
仮説5:死後の世界
→ ……検討外
すべてが同時に成立し得る状況。
白い椅子を前にして、一度だけ眉を寄せた。
推理小説なら、ここで座るのが“正解”。
座らないのが“正解”の場合もある。
どちらにせよ、観測しないことには始まらない。
「……賭けだ」
小さく呟いて、
しかしその声には確信があった。
探偵として、
名探偵の父の子として、
葉隠彰という探偵は、
半ば賭けのように、
しかし迷いなく、
静かに白い椅子に腰を下ろした。
座った瞬間、
全身に電流のような感覚が走った。
「……やっぱり、わからない」
小さく、満足げに笑った。
これほどまでに「謎」であることが、
こんなにも嬉しかったことはない。
そして、僕の推理という名のトイカケが始まった