Chapter05-01

記録者: レーゼル (ENo. 74)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-04 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

変わらぬ様子のその部屋の、ただひとつの椅子に腰を掛けると──
あなたの向かいには、まず鮮やかな赤色が揺らめくように浮かび上がる。

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「──あら。今日も来てくれたのね?」

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「それとも〝今日のあなた〟は初めてのあなた?
 一体此処の時間軸はどうなってるのかしら、本当に面白いわ」

くすくす、と透明な鈴のような笑い声。
少女の姿をしたそれは、あなたを値踏みするでもなく眺め、
こちらの反応を楽しむように言葉を紡ぐ。

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「あなたも分かっているでしょう?この部屋はいつでも
 同じところに戻る事ができる・・・・・・・・・・・・・のよ」

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「思索を重ねた後、また同じ質問に答えたいとき、
 そうあなたが望むなら、あなたはまた同じトイカケを受ける事が出来る」

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「──考えは日々変わるものよ。
 常に同じ答えを出し続ける生き物なんてきっと存在しないわ。
 今を語る、今を自覚する、そのためにこの部屋を使えばいいのではなくって?」

歌うように紡がれた言葉は、どこか甘く、どこか寂しい。
まるで無窮の眠りの中で、何度も同じ思索を拾い直してきた者の声音のようだった。

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「私はアマリエ。とある世界の吸血鬼よ。
 ずぅっと昔に封印されてるから、きっと誰も私を知らないわ」

さらりと自己紹介を流し、あなたの名前を問う事はしない。
いつかに知ったのかも知れないし、この部屋の性質を知っているが故
わざわざ訊く必要も無いとしているのやもしれない。

そうして吸血鬼は、何も迷う事も無くトイカケを紡ぎ出す。

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「私はずっと同じ事を問い続けている。
 一意に定まる答えが無いと知っているけれども、
 それでも追及する事に無駄は無いと思っている。

 あなたにとって答える価値が無いなら目を閉じてご覧なさい?
 きっと元のところに戻れるわ」

ふと、吸血鬼の紅い瞳があなたを真っ直ぐに射抜く。
その奥には、何百回も、何千回も、この思索を繰り返してきた気配が宿っている。

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「ねえ、あなたにとって──愛ってどんなもの?


──あなたにとって愛とは何ですか?
Answer
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「…………」

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まただよ!
 ってか、誰?どっかの世界で会ったかな……」

『今日も来てくれたのね』と言われたが全く身に覚えがない。
この部屋自体には何度も来ているが。この少女と出会うのは初めてのはずだ。

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「って、僕のバイザー無くなってるんだけど!まあいいか……」

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「同じところに戻れる?それは初耳だなぁ」

今のところ、自分の考えは変わらない。
ゆえに、『同じところに戻る』ことも質問を回答し直す事もしないかもしれない。

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「アマリエさんねぇ。
 封印されてるっていう割にここには出てこれるんだ?
 というか封印場所がこの部屋なのかな……

回答は無い。
真相は不明だがこの部屋は不思議な空間だし例外も有るだろう。多分。

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「まあ、また喚ばれたからには質問には答えるよ。
 すぐ帰るっていうのもなんか味気無いし」

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「愛、か。何かを好きな気持ちがそうなんじゃない?」

自認小学生にはまだ難しい質問だった。
誰かを愛した事も無ければ、誰かに愛されたという記憶も無い己には特に。