Chapter05-04

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-01 04:00:00

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「……ええ。なるほど。とても良いわ」

彼女は椅子の背に淡く寄りかかり、足を組み替える。
ゆったりとした仕草なのに、その赤い瞳だけはどこか鋭く、
あなたの胸の奥を探るように光っていた。

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「“差し出す”という行為はね、
 裏返せば“奪われてもいい”という覚悟なのよ。
 時間を奪われても、血を奪われても、自由を奪われても──
 それでもいいと思えるほど誰かを好きになる。
 それが、愛の輪郭を決めると私は思っているの」

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「だから、どこまで差し出せるか──
 その答えは“あなたがどんな愛を求めているか”を暴いてしまう

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「……忠告でも何でもないわ?
 ただの私の持論で、ただの老婆心と思ってもらって結構よ」

コン、と靴先が床を軽く叩く。
それは思索の区切りでもあり、次へ続く扉のノックのようでもあった。

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「ねえ。差し出せる量が“あなたの愛”を示すのだとしたら……
 じゃあ、“相手の愛”はどう測ればいいのかしら

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「どうしたら誰かの“愛の深さ”を確かめられるのかしら?」

──あなたは相手の愛を測るためにはどのような事が必要だと思いますか?
Answer
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「………………」
「私は……差し出さないし、奪わないよ」

 王だから。
 妻を愛したいと思う心はあるけれど、
 それ以前に、己は王だから。

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「私は何も望まない。
 彼女が私を嫌いになるなら、
 追い掛けることもしないよ…………」

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「嫌われたらきっと、悪いのは私なんだ」
「なら、追い掛けないことこそが、
 彼女を傷付けないことになる」

 この王は、自省的である。

 彼は差し出さないし、
 差し出されることを望まない。
 彼の求める愛のかたちは、
 相手と浅い関係のまま?

 立場的に差し出せないし、
 何かを差し出されたところできっと、
 それの扱いに困ってしまうだけ。

 毅然とした態度の裏に隠す臆病さ。
 根っこのところは、変わらない。

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「愛の、深さ…………」
「……………………」

 思考。
 そんな自分が考える、“愛の深さ”とは。

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「その人が……自分の隣に居たいと願うこと」
「隣に居たいと願い続けること、その期間」

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「それこそが“愛の深さ”だと……
 私は考えるな…………」

 だって、と続ける。

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「嫌いな人間の隣になんて、
 居たくはないものだろう?」
「隣に居ること、共に歩むのを許すこと。
 それは…………愛があってこそだよ、ね」