Chapter05-02

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-02-01 04:00:00

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「私はね……愛って、とても厄介で、
 でもどうしようもなく惹かれるものだと思うの。
 血みたいに温かくて、時間みたいに残酷で、
 それでいて、どんな者でも変えてしまう」

あなたの言葉を聞いて、吸血鬼はぽつりと自身の考えを零す。

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「あなたの言う事はきっと正しくて、
 それでいて間違っているのでしょう。

 明日のあなたに訊いたら、5年後のあなたに訊いたら、
 5年前のあなたに訊いたら──きっと違う答えが来るの。
 愛ってきっと、それだけ不確かな事だわ」

彼女は細い足を組み替え、椅子の背に体を預ける。
真っ白な部屋の中で、その赤い瞳だけが深い影を帯びていた。

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「そう思わない?」

軽く首を傾げて笑うと、その笑みはころころと転がるように形を変える。
無邪気にも見えて、どこか深い絶望すら含んでいるような、不思議な笑み。

やがて吸血鬼は小さく手を合わせ、軽い音を鳴らした。
その一拍で、空気がまた別の問いへと向きを変える。

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「さ、次の問いに行きましょう?
 あなたは──愛に伴う不自由さについて、どう思う?

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「縛られる側としてでも──縛る側としてでも、
 どちらでもいいわ。少し考えてみて?」


──あなたは愛によって自由が縛られる事についてどう思いますか?
Answer
 貴方の語る“愛”を、静かに聞いている。
 己がそれを語るには、
 まだあまりにも、愛を知らな過ぎる。

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「…………そうだね」
「今の私と5年前の“僕”では、
 思考もかなり変わった自覚があるしな」

 頷く。
 だから未来の自分も、きっと。

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「…………ッ」

 次の問いに、言葉を詰まらせる。

 妻を縛るつもりはないし、
 妻も己を縛るつもりなんてないはず。
 そして己は縛られる苦しさを知っているからこそ、
 誰も縛りたくないと願うけれど。

 “そういうことがある”のは、
 知識としては知っている。

 実感はないから。
 せめて真摯に、答えよう。


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「私は……双方が同意の上ならば、
 愛による拘束はまぁ…………
 別に良いとは思っている」

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「だけれど、一方的な愛による拘束は……
 相手の望まない拘束は…………
 本当にその人を愛しているのだろうかと、
 私は疑問に思ってしまう」

 思考巡らせながら、ぽつぽつ。
 所詮はこれも、理想論なのかも知れないけれど。

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「私は…………
 愛とは優しく温かいものであるべきと、
 そんな思想を抱いているからさ」

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「それから外れたものを…………
 愛とは呼びたくないな…………」