手が触れ合った時。思ったんだ。
ちゃんと、生きてる。そこに、いる、って。
今まで、手を離れていたそれに触れたら、我慢とか、できるわけもなくて。
ゆっくりと、ゆっくりと触れて。
嫌がる素振りもないなら。そのまま、自分の方へと引き寄せる。
目頭が、喉が焼けるように熱くなって。
奥から込み上がって来るそれを、必死に押さえながら、抱きしめて。私はああ言った。
"「茶太郎。…帰ろう、一緒に。」"
合わせた茶太郎の顔には、明らかな疲労が酷く滲んで見えていて。とにかく、早く帰って休ませてあげたい、と、最初に思ったのを覚えている。
そうやって抱きついた私に、声をかける茶太郎の声は、優しくて、震えていて、詰まっていて。
それでいて、とても安心できる、そんな声だった。

ひとみん
「………………良いんだよ、全部、良いんだよ……」
茶太郎が決壊するのと同時ぐらいに、私も決壊したと思う。
本当に、泣きすぎて声が出なくなるぐらいの勢いで、溜まっていたらしいものが弾けた。
ただただ、安心した。本当に。もう2度と会えないんじゃないか。もう2度と話せないんじゃないかと思ったぐらいには、絶望感しか目の前になかったような、そんな状況で。
でも、茶太郎を抱きしめた瞬間。
そんな不安が、まるで最初から無かったように一気に解けていった。
多分、茶太郎も似た気持ちだったのかも、なんて考えている。
だって、こいつは本当に、本当にたくさん頑張ってきたんだ。
予想だけど多分、私より辛い思いをしたんじゃないか、とも思った。
クマも酷くなってて、やつれてもいた。
そしてそんなところに、1人寂しく置いてきてしまったことを、私は今更ながら深く後悔していた。
そうして泣きながら時間を過ごしてはいたが、いろんな考えを巡らせているうちに、部屋の輪郭は、少しずつ形を失っていく。
そうだ、終わったんだった。
慌てて顔を上げた茶太郎に続いてゆっくりめの動きで顔を質問者の方に向けた。
そこには、凛とした顔のアマリエが静かに立っていた。
彼女の、"戻りなさい"、という声は、耳の奥へ、胸の中へ、スッと入ってきて。
ちゃんと、絶対に一緒に帰れるんだ、ということを私にわからせる。
不安も全て覗き見られてるように、丁寧に潰されていく。
…さて、少し間があっただろうか。茶太郎が立ち上がった、から私も立ち上がって、より近くまで近付いていった。
茶太郎は、そうして近付いていった私の手をそっと取って。
痛くない、けれど、絶対に離さない。そんな力具合で、この夢から覚めるまで。
私も、茶太郎の手を握り返して。絶対に離さないように、と、糸に、想いを込めて。

___おかえり。茶太郎。