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記録者: 御剣 陽介 (ENo. 20)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

「おーい!!!誰かいねぇのかー!!!!」

大声で叫ぶが誰の声も聞こえない

「うわ、マジかよ……」

「ちょ、マジで何これ……?」

「ちょ、ちょっと待てって! 誰か説明してくれよ!」

声が全部、自分の耳にだけ跳ね返ってくる。いつもなら誰かしらなんか言うのに…

誰もいない。
鍋の湯気も、ビフテキの匂いも、みんなの笑い声も、
全部消えてる。

訳がわからない。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
冗談だろ? ドッキリだろ? 隠しカメラどこだよ? 出てこいよ!
……でも、誰も出てこない。

オレンジのヘッドフォンが耳に食い込んで痛い。
いつもなら音楽かけてごまかしてたのに、今は無音。
自分の心臓の音だけが、ドクドクドクドク、うるさいくらい響いてる。

中央に目を向けると白い椅子があった。

白い椅子を見た瞬間、
急にガキの頃の記憶がフラッシュバックした。
親父のショッピングモールで迷子になった日。
白い非常灯だけが点いてた待合室で、
誰も来なくて、泣きそうだったこと。

「……くそ」
陽介は乱暴に髪をかきむしって、
「座るしかねぇんだろ!」
と自分に言い聞かせるように叫んだ。

わけのわからないまま、
勢いだけで、
どっかりと白い椅子に腰を下ろした。

座った瞬間、
「……あれ?」
予想外に、肩の力が抜けるような安堵が広がった。
「……なんか、すげぇ落ち着くじゃん?」
自分でもびっくりして、思わず笑った。

そして、訳の分からぬまま、俺へのトイカケが始まった