Chapter05-04

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-14 04:00:00

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「……ええ。なるほど。とても良いわ」

彼女は椅子の背に淡く寄りかかり、足を組み替える。
ゆったりとした仕草なのに、その赤い瞳だけはどこか鋭く、
あなたの胸の奥を探るように光っていた。

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「“差し出す”という行為はね、
 裏返せば“奪われてもいい”という覚悟なのよ。
 時間を奪われても、血を奪われても、自由を奪われても──
 それでもいいと思えるほど誰かを好きになる。
 それが、愛の輪郭を決めると私は思っているの」

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「だから、どこまで差し出せるか──
 その答えは“あなたがどんな愛を求めているか”を暴いてしまう

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「……忠告でも何でもないわ?
 ただの私の持論で、ただの老婆心と思ってもらって結構よ」

コン、と靴先が床を軽く叩く。
それは思索の区切りでもあり、次へ続く扉のノックのようでもあった。

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「ねえ。差し出せる量が“あなたの愛”を示すのだとしたら……
 じゃあ、“相手の愛”はどう測ればいいのかしら

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「どうしたら誰かの“愛の深さ”を確かめられるのかしら?」

──あなたは相手の愛を測るためにはどのような事が必要だと思いますか?
Answer
どんな愛を求めてるかを暴いてしまう、とは。
私は、受けたものを周りに返しているだけで、そこに愛の飢えがあるわけではない。

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ひとみん
「あんたが言うことは人によっては的を射てるかもしれないけれど…私は残念ながらそうじゃないよ。」

だって、愛を分ければ、彼らはその分態度で返してくる。
そこに、愛があって、形式や形なんてどうだって良いのだから。

名前を呼ばれる、それだけで、胸の内が温かくなるのを、私は知っている。

私は、やりたいように、しているだけで。

そうして、また一つ質問が投げかけられた時、私は内容にひどく顔を顰めてしまった。

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ひとみん
「……お前は、相手の愛の深さを測るだなんて烏滸がましいと思わないのか?」

口をついてでたのがその言葉だった。

烏滸がましい、と言うのは。
自分に愛をくれてる、その事実だけで十分なはずなのに、どうしてそれ以上のものを求めようとするのか、と言うことだ。
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ひとみん
「私は…、愛されてるって言うのが見えるだけで、十分、なんだけど」

そもそも、愛されることだって簡単ではない。愛すことにも、覚悟がいる。
その先に来てくれているのだから、深度なんて、どうでも良いのではないか?と言うのが、私の考えだったけれど。

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ひとみん
「…でも、私が愛してる人が、私の愛の深度を知りたいなら、どこまでも付き合うとおもう。」

知りたいなら、教えてあげたい。見たいなら、見せてあげたい。
だから、トイカケの答えは、「知らないところを知りたいようにする」だと思う。

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ひとみん
「だって、……………………ぜんぶ、全部大好きだから。」

私がどんな考えをしているかなんて、愛してる人の前では関係のないもので。その人がしたいなら、どこまででも一緒に行くし、なんでもする。それが、私。

そうしていると、壁の向こうからまた声がして。
さっきよりもハッキリと輪郭が聞き取れたような、要所要所だけだけれど、聞き取れたような。

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ひとみん
「………………茶太郎…

その声は、真っ直ぐで、それでいて、少しだけ、苦しそうで。
ゆっくりと話す、壁の向こうの貴方の言葉は、…全てではないかもしれない、けれども確実に、彼女の方へと声は届き始めていた。

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ひとみん
「………………私、は…」

言葉に詰まる。どう言えば良いのだろう。向こうには、私の声が聞こえているの、かな。

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ひとみん
…………茶太郎と、一緒じゃないと…嫌、だから、だよ…

本当は、彼とも一緒にいたかった。でも、もうそれは叶わない願い。
その上、貴方まで失ったら、私はどうすれば良いかわからなくなってしまう。

ここに居ていい、じゃなくて。"ここがいい"。

そんな、私が貴方に言う、初めての我儘のような。
そんな小さな言葉が、一粒の雫が落ちるように、溢れた。