どんな愛を求めてるかを暴いてしまう、とは。
私は、受けたものを周りに返しているだけで、そこに愛の飢えがあるわけではない。

ひとみん
「あんたが言うことは人によっては的を射てるかもしれないけれど…私は残念ながらそうじゃないよ。」
だって、愛を分ければ、彼らはその分態度で返してくる。
そこに、愛があって、形式や形なんてどうだって良いのだから。
名前を呼ばれる、それだけで、胸の内が温かくなるのを、私は知っている。
私は、やりたいように、しているだけで。
そうして、また一つ質問が投げかけられた時、私は内容にひどく顔を顰めてしまった。

ひとみん
「……お前は、相手の愛の深さを測るだなんて烏滸がましいと思わないのか?」
口をついてでたのがその言葉だった。
烏滸がましい、と言うのは。
自分に愛をくれてる、その事実だけで十分なはずなのに、どうしてそれ以上のものを求めようとするのか、と言うことだ。

ひとみん
「私は…、愛されてるって言うのが見えるだけで、十分、なんだけど」
そもそも、愛されることだって簡単ではない。愛すことにも、覚悟がいる。
その先に来てくれているのだから、深度なんて、どうでも良いのではないか?と言うのが、私の考えだったけれど。

ひとみん
「…でも、私が愛してる人が、私の愛の深度を知りたいなら、どこまでも付き合うとおもう。」
知りたいなら、教えてあげたい。見たいなら、見せてあげたい。
だから、トイカケの答えは、「知らないところを知りたいようにする」だと思う。

ひとみん
「だって、……………………ぜんぶ、全部大好きだから。」
私がどんな考えをしているかなんて、愛してる人の前では関係のないもので。その人がしたいなら、どこまででも一緒に行くし、なんでもする。それが、私。
そうしていると、壁の向こうからまた声がして。
さっきよりもハッキリと輪郭が聞き取れたような、要所要所だけだけれど、聞き取れたような。

ひとみん
「………………茶太郎…」
その声は、真っ直ぐで、それでいて、少しだけ、苦しそうで。
ゆっくりと話す、壁の向こうの貴方の言葉は、…全てではないかもしれない、けれども確実に、彼女の方へと声は届き始めていた。

ひとみん
「………………私、は…」
言葉に詰まる。どう言えば良いのだろう。向こうには、私の声が聞こえているの、かな。

ひとみん
「…………茶太郎と、一緒じゃないと…嫌、だから、だよ…」
本当は、彼とも一緒にいたかった。でも、もうそれは叶わない願い。
その上、貴方まで失ったら、私はどうすれば良いかわからなくなってしまう。
ここに居ていい、じゃなくて。"ここがいい"。
そんな、私が貴方に言う、初めての我儘のような。
そんな小さな言葉が、一粒の雫が落ちるように、溢れた。