Chapter01-05

記録者: 可和光・ロックスレイ (ENo. 47)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

クリックで開閉

  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

icon
「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

icon
──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


icon
「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
icon
「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
icon
「……二度、同じことを言うようだけれど……
 僕には、"僕であり続ける"だけで価値がある

icon
「観測者なくして、誰が僕を讃える?
 民が、僕が、歴史が僕を讃えられぬ状況に陥った時、僕は何を杖に立つ?」
――僕自身だ。

icon
「優れた血筋? ふ、優れているのは僕一人だよ。
 ならばその能力こそが杖なのか? それもまた違う。
 僕は無条件に、僕自身を肯定する……

icon
「たとえそれが、どれほど落ちぶれていても。
 たとえそれが、どれほど渋々譲らねばならぬ状況に陥っていたとしても。
 ――僕が切り抜けられぬことなど、ない」

常に、"目の前の困難を切り抜けられる"己を夢想し続け。
であるがゆえに、己の価値を己の内でどこまでも大きくできる。
実際のところ、彼の杖はその傲慢さだ。