Chapter05-02

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-11 04:00:00

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「私はね……愛って、とても厄介で、
 でもどうしようもなく惹かれるものだと思うの。
 血みたいに温かくて、時間みたいに残酷で、
 それでいて、どんな者でも変えてしまう」

あなたの言葉を聞いて、吸血鬼はぽつりと自身の考えを零す。

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「あなたの言う事はきっと正しくて、
 それでいて間違っているのでしょう。

 明日のあなたに訊いたら、5年後のあなたに訊いたら、
 5年前のあなたに訊いたら──きっと違う答えが来るの。
 愛ってきっと、それだけ不確かな事だわ」

彼女は細い足を組み替え、椅子の背に体を預ける。
真っ白な部屋の中で、その赤い瞳だけが深い影を帯びていた。

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「そう思わない?」

軽く首を傾げて笑うと、その笑みはころころと転がるように形を変える。
無邪気にも見えて、どこか深い絶望すら含んでいるような、不思議な笑み。

やがて吸血鬼は小さく手を合わせ、軽い音を鳴らした。
その一拍で、空気がまた別の問いへと向きを変える。

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「さ、次の問いに行きましょう?
 あなたは──愛に伴う不自由さについて、どう思う?

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「縛られる側としてでも──縛る側としてでも、
 どちらでもいいわ。少し考えてみて?」


──あなたは愛によって自由が縛られる事についてどう思いますか?
Answer
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ひとみん
「正しくて…間違って…」

果たして、本当にそうだろうか。
間違いなんて、あるのか。
だって、愛は変わりゆくから愛と呼ぶもので。

変わらなければ、それはただの、縛るだけの鎖ではないか。
だから、間違いとかってないんだと私はずっと思っていて。
人も変わりゆく中でそれに合わさっていくのが、私の知っている愛なんだから。

こだまする、向こうからの、隣からの返事のような、そうでない声。

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ひとみん
「…愛に伴う、不自由…」

質問を聴いて、意味もなく寂しく、また悲しくなった。
不自由をさせてしまった父のことを、また想ってしまった。

また響く向こう側からの声。何故だろう、ハッキリとは聞き取れない。

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ひとみん
「アタシは不自由でも、幸せならそれで…」

そこまで言いかけた時。ふと、思い出した、あなたの顔。
怪我ばっかりして帰ってくるのを、辛そうに、でも笑って出迎えてくれたね。

それでも、幸せだった。だから幸せだった。
たぶん、あまり、私が怪我することを良くは思ってなかったと思う。
それでも、受け入れようとしてくれるそんな姿勢で居てくれて。
わかってても、それが嬉しかった。

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ひとみん
「アタシは別に、どんな不自由があっても、苦しくもなんともない。だから、それで、良かったのに………………」

だから、どれだけ目の前高い壁があったって。それに岩なんかを引っ張り上げながら登らなくちゃ行けなくたって。
2人がいれば、それだけで力がみなぎってきて。なんでも出来る。そう思っていたんだ。
だから。
どんな目に遭っても、2人が家で待ってる。笑って出迎えてくれる。
それだけで、どれだけ殴り飛ばされたって、酷い目に遭わされたって、帰る力がでた。

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ひとみん
「アタシにとっては、愛さえあれば、不自由なんかないんだよ。だって、仕事がダメになったってさ、探せば道はいくらでもある。住む場所がなくなったって、家もたくさんその辺にあるんだから。」

声がハッキリと聞こえなくとも。心の奥に灯る暖かさは本物で。
日々がどれだけ苦しくとも、その苦しい分、もっともっと幸せで。

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ひとみん
「……不自由なんて、愛があれば無いに等しい。アタシはずっとそう思ってる。」

これが、私のずっと持ち続けている、答えだった。