Chapter06-03

記録者: 御守 瑠海 (ENo. 140)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-07 04:00:00

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墓守はゆっくりと瞬きをひとつした。

それは人の仕草をなぞったものだったが、
人間のそれとは少し距離があるようにも見える。

カンテラの青い灯が、静かに揺れる。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

墓守は否定もしないし、肯定もしない。
それらを並べて、等しい重さで掌に載せているようだった。
その声には、感情らしい抑揚はほとんど無い。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

墓守はカンテラを持つ手を少しだけ上げる。
青い光を受けた枯れ木の意匠は、葉をつけている様にも見えた。

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死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

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「そしたら、次はここを訊こうか」


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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」

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「天国でも、地獄でも、
 次の生でも、あるいは……ただの静けさでもいい」


──あなたは死の向こう側に「続き」があると思いますか?
Answer
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「つまりは、僕がイデア界があるかどうかどっちに思っているかってことかい?
 まぁ、確かに、どこか信じていなさそうな言い方をしてきたが、
 イデア界があるとは信じているよ。
 ただ、同時に疑ってもいる。
 つまりはまぁ、イデア界があったらいいなという願望を抱いている。」

どんな人間だってほとんどがそうだ。
死に続きはなく、救いを見るなという人間も知ってはいるがそこまで言い切れるのは少数派だ。
僕の知る現代の人々の大半は、天国があるか否かは半信半疑ながらもあったらいいな程度には思っている。
そして、それは僕も例に漏れないというだけだ。