すっかり見慣れたはずの白い部屋。しかし、そのイスの向こうには、それまでと違ってはっきりとしない黒い影が座っていた。
今度はこちらが問いかける番らしい、と分かって相手かもわからないまま気になっていたことを問いかけて。
しかしその向こうから返ってきたノイズ混じりの笑い声、楽しげな声に目を見張って少し身を乗り出すようにして耳を傾けるだろう。

「ちょっと聞こえた。へぇ、こっち側ってこんな感じなんだ。ふふっ、ちゃんと許可もらえちゃったから遠慮なくリエちゃんって呼ぶね!」
嬉しそうに笑って、アマリエの語る好きな人の話に耳を傾けるだろう。
吸血鬼ハンターだった、と言ったときには思わず目を見張り、切なげな語り口には柔らかいほほ笑みを浮かべながらウンウンと頷いて先を促すだろう。
彼に封印された、と聞いたときには思わず眉を釣り上げて口を開きかけたが、ぽつりと零された疑問に再び口を閉じるだろう。
最後まで話を聞いて、パチパチと拍手する。

「聞かせてくれてありがと~。物語みたいな恋だね。あはは、うちだってまだ恋したことないから全然。恋とか愛って難しいね」

「まぁでもさぁ、話聞いたうちが思っただけなんだけど。正直リエちゃん騙して酷いやつ! って思うけど、けどさ。きっとリエちゃんと一緒にいて楽しかったのは、その人も一緒だったんじゃないかな?」

「今頃封印したこと後悔しまくって、封印解く方法探してたらいいね」

「んっふふ。世界を超えて楽しい恋バナ聞けちゃうなんて良い経験したな~! うちも恋したらまた話そうね、リエちゃん。あ、それかそっちの続報あったらなんとかして聞きたい」
よろしくね~と手を振りながら、消えていく白い部屋とともに溶けていった。