
ひとみん
「ッ?!」
バツン!と、いきなり視界がはじけたように白くなって。
しばらく痛む目で瞬きをしたそこは、また、もう見慣れたあの場所。

ひとみん
「ぇ、えと…」
眩しさに顔を顰めながら、一旦状況を整理していた。
…何してたんだっけ。いや…多分、何もしてない。
多分、あの後また病室で寝落ちてしまったのだろう。
ふ、と、薬指を見る。…確かに、ある。
_壁を叩いてみたらどうかな。
そんな、彼の声が、耳の奥に反響していて。
今ふとみても、壁は…いつもと同じように見えた。
ただ、白い壁。
…まさか、短時間の間に、ここまでこの世界を見ることになるとは夢にも思わなかった。
さて、一旦また"ある"椅子に腰掛ければ、見慣れない赤が目の前にジワリ。
…しばらく話を聞いていたけれど…意味がわからない。戻れる、って?どう言うこと?
一度話せば終わり…ってわけじゃ…ないって、こと…?
…まあ、いい…。質問が来た。今はそっちに注力しよう。

ひとみん
「……アタシにとっての…愛…?」
愛。与えられてきたもの。今は…どうだろう、あげてるつもり、なんだけど…ちゃんとあげられているのかな。

ひとみん
「………アタシにとっての愛ってのは…尽くすこと、かな。アタシは。相手からの話なら…なんでも、示してくれればそれでいいんだけど。」
自分の父親がそうで。全てを捨てて、私を支えて、尽くしてくれた。そんな父が居たから、今の私がいる。次は、注がれてきた私の番。
…恩を返す人は今は居ないけど、くれたものを分けることなら出来るから。それだけ。
ちゃんと、あの2人には渡ってたのかな。
毎日、色々話して、作って、寝て、起きて。
ちゃんと…ちゃんと、この愛は…伝わっていた、のかな。
『____』

ひとみん
「……?」
自分が質問に答えたタイミングで、壁の向こうがあるかのような、音、…声?が聞こえた気がした、ような…。

ひとみん
「……茶太、郎…?」
聞き慣れたような音、…声。
多分。
直感で、名前を呼んでみた。返事は…あるかどうかは、わからない。