Chapter05-01

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-07 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

変わらぬ様子のその部屋の、ただひとつの椅子に腰を掛けると──
あなたの向かいには、まず鮮やかな赤色が揺らめくように浮かび上がる。

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「──あら。今日も来てくれたのね?」

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「それとも〝今日のあなた〟は初めてのあなた?
 一体此処の時間軸はどうなってるのかしら、本当に面白いわ」

くすくす、と透明な鈴のような笑い声。
少女の姿をしたそれは、あなたを値踏みするでもなく眺め、
こちらの反応を楽しむように言葉を紡ぐ。

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「あなたも分かっているでしょう?この部屋はいつでも
 同じところに戻る事ができる・・・・・・・・・・・・・のよ」

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「思索を重ねた後、また同じ質問に答えたいとき、
 そうあなたが望むなら、あなたはまた同じトイカケを受ける事が出来る」

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「──考えは日々変わるものよ。
 常に同じ答えを出し続ける生き物なんてきっと存在しないわ。
 今を語る、今を自覚する、そのためにこの部屋を使えばいいのではなくって?」

歌うように紡がれた言葉は、どこか甘く、どこか寂しい。
まるで無窮の眠りの中で、何度も同じ思索を拾い直してきた者の声音のようだった。

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「私はアマリエ。とある世界の吸血鬼よ。
 ずぅっと昔に封印されてるから、きっと誰も私を知らないわ」

さらりと自己紹介を流し、あなたの名前を問う事はしない。
いつかに知ったのかも知れないし、この部屋の性質を知っているが故
わざわざ訊く必要も無いとしているのやもしれない。

そうして吸血鬼は、何も迷う事も無くトイカケを紡ぎ出す。

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「私はずっと同じ事を問い続けている。
 一意に定まる答えが無いと知っているけれども、
 それでも追及する事に無駄は無いと思っている。

 あなたにとって答える価値が無いなら目を閉じてご覧なさい?
 きっと元のところに戻れるわ」

ふと、吸血鬼の紅い瞳があなたを真っ直ぐに射抜く。
その奥には、何百回も、何千回も、この思索を繰り返してきた気配が宿っている。

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「ねえ、あなたにとって──愛ってどんなもの?


──あなたにとって愛とは何ですか?
Answer
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ひとみん
「ッ?!」

バツン!と、いきなり視界がはじけたように白くなって。
しばらく痛む目で瞬きをしたそこは、また、もう見慣れたあの場所。

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ひとみん
「ぇ、えと…」

眩しさに顔を顰めながら、一旦状況を整理していた。
…何してたんだっけ。いや…多分、何もしてない。
多分、あの後また病室で寝落ちてしまったのだろう。

ふ、と、薬指を見る。…確かに、ある。

_壁を叩いてみたらどうかな。

そんな、彼の声が、耳の奥に反響していて。
今ふとみても、壁は…いつもと同じように見えた。

ただ、白い壁。

…まさか、短時間の間に、ここまでこの世界を見ることになるとは夢にも思わなかった。
さて、一旦また"ある"椅子に腰掛ければ、見慣れない赤が目の前にジワリ。

…しばらく話を聞いていたけれど…意味がわからない。戻れる、って?どう言うこと?
一度話せば終わり…ってわけじゃ…ないって、こと…?

…まあ、いい…。質問が来た。今はそっちに注力しよう。

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ひとみん
「……アタシにとっての…愛…?」

愛。与えられてきたもの。今は…どうだろう、あげてるつもり、なんだけど…ちゃんとあげられているのかな。

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ひとみん
「………アタシにとっての愛ってのは…尽くすこと、かな。アタシは。相手からの話なら…なんでも、示してくれればそれでいいんだけど。」

自分の父親がそうで。全てを捨てて、私を支えて、尽くしてくれた。そんな父が居たから、今の私がいる。次は、注がれてきた私の番。
…恩を返す人は今は居ないけど、くれたものを分けることなら出来るから。それだけ。

ちゃんと、あの2人には渡ってたのかな。
毎日、色々話して、作って、寝て、起きて。

ちゃんと…ちゃんと、この愛は…伝わっていた、のかな。


『____』

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ひとみん
「……?」

自分が質問に答えたタイミングで、壁の向こうがあるかのような、音、…声?が聞こえた気がした、ような…。

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ひとみん
「……茶太、郎…?」

聞き慣れたような音、…声。
多分。
直感で、名前を呼んでみた。返事は…あるかどうかは、わからない。