Chapter04-fin

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

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あなたの言葉聴いて、
魔女の弟子はしばらく静かに部屋を見上げていた。
先ほど見ていた方に視線が移ると、あ、と小さく零して、
あなたが視線を動かせば、部屋の端が水に滲むように消えてくのが見えたろう。

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「……うーん、なるほど。あの現象……言語化するのが少し難しいですが、
 多分、視覚的な輪郭と空間認識の情報が、瞬間的に再構築されているのだと思います。
 物理的な消失や崩壊というよりも、知覚のレイヤーが重なり合って、境界が滑らかに溶けていく感じ……
 つまり、僕たちが普段認識している『空間』というものは、あくまで脳内で組み上げたモデルであって、
 この部屋はそのモデルの外側にある現象をわずかに、でも部分的に見せているのでは……」


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「あっ、すみません……。
 ええと、どうやらこの部屋は今回は役割を終えた……みたいな、そう言う事なのかもしれません」

やや恥ずかし気に頬を掻いて、けれども気になるのは変わらないらしい。
そわりと溶けて行く景色を見て、投げかける言葉もどことなく好奇の色が滲んでいた。

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「ひょっとしたら、僕が何かの条件を満たした瞬間に、部屋が終了を決めた……?
 いや、でもあなたが答えたことも絡んで……あああ、もう一回最初から整理……!」

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……ああ、でも待ってください、あの瞬間の視覚情報の変化とか、
 境界の消失タイミングとか……
 あれ、もしかして僕の推論が部分的に正しかったんじゃ……!

視界がゆったりとぼんやりして、魔女の弟子は抗うように見開いて、
それでも最後にこちらをちらりと見て、ぱっと笑った。

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「あっ、あっ……妙にテンション上がっちゃいました。へへ……。
 えっと……じゃあ、そろそろ元の場所に戻らなきゃですね。
 いや、戻ると言うより、“戻される”ですかね、たぶん」

彼は急に慌てたように視線を宙に泳がせ、
片手を振ってあなたに向かって叫ぶように言った。

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じゃあ、あの……さようなら! またどこかで──
 あっ、いや、巻き込まれるのは勘弁ですけど、
 お会いできたら……その時はよろしくお願いします!


そんな声は反響もせず、目覚めるように夢幻のなかに。

それで、次に瞬きした後には。
あなたはあるべきところに戻っていたのだろう。

ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
じわじわと、絵の具に水を落としたような、そんな輪郭のボヤけ方をしてくるこの空間。
そういえば、毎回、この時間だけはちょっと違ったな、なんて思い出していて。

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ひとみん
「…………役目を終えた、ねえ…。」

彼、最後まで饒舌だったな、なんてため息をつきながら。溶けゆく意識の中、自分がどんな状況にあって、どう言うことになっていたか。それをようやく思い出してきた。

そう、私は…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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ひとみん
「ん"っ…」

そうして、かくん、と船を漕いだここは、さっきから変わらない病室で。

叫んだ後の喉のヒリヒリ感はまだ残っていて、それが一種の白昼夢を見ていたことを、私に思い出させた。

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ひとみん
「………………グス、…っ」

しゃくりあげるぐらい、感情はまだ落ち着いておらず、
涙はまだ渇ききってなくて、鼻水が鼻の下に少し垂れていて。

それを、うわ、あたし汚な…なんて思いながら、涙と鼻を拭いていた。

状況を整理しよう、ちょっと、若干こんがらがっている。
まず、お医者さんに、一種の選択を提示されて…
それに耐えられなくて泣いて…
……
そこからあそこで少年?と出会って…
目覚めて?今、なのかな…。多分、空気的にも、そんなに時間は経ってなさそう。

ちら、とベッドに横たわっている彼に目をやる。
相変わらず、規則的に呼吸だけを繰り返していた。

私、やっぱり無力だな、と言うことを、こう言う時いつも痛感する。
私は、何か気の利く声掛けができるわけでもないし、かと言って何かしてあげられることもない。

悔しいけれど、こう言う時、どうすればいいか、わからない。
この状況で出来ることなんて、何か話しかけることぐらいしかなくて。

先生に、なんて説明しようかな。
ここまで叫んでたら聞こえそうな気もするけれど。