Chapter04-05

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

クリックで開閉
icon
「もしそういう事なら──……」

あなたの答えを聞き、何か考え込むように魔女の弟子が視線を外す。
思考に入り込もうとしたところで、ふ、と何かに気付いたか
言葉を止めて部屋のある方──先の時にも見ていた方に目をやって、あ、と小さく零した。

icon
「……次の問いが最後みたいです。
 ほらあそこ……見えませんか?」

魔女の弟子が指し示す方には何も見あたらない。
〝あちら側〟の椅子に座った者にしか見えない、
カウントなのか、時計なのか、何があるのかは分からないが、
何にせよ次のトイカケが彼の最後のトイカケだろう。

icon
え、えーっと……何の話でしたっけ……。
 ……この部屋の話でしたね」

icon
「……この部屋がどういう目的のものか。
 あなたの言った通りかも知れないし、
 もしかしたら全くの的外れでもあるのかも知れない。
 答え合わせは僕たちには出来ないのが、ちょっともどかしいですね」

icon
「……ただ、この部屋が
 誰かが僕たちを見るためのものであった、なら──……」

魔女の弟子は、何かを見ようとするように顔を上げる。
自分たちを見る目を見ようとするように、部屋を斜め上に見上げていた。

icon
「あなたは……
 この白い部屋に“最後にひとつ言葉を残す”としたら、何を言いますか?


──あなたはこの部屋に言いたい事はありますか?

sample

icon
「……僕だったら、そうですね」

一度唇を結び、考えを整えるように胸の前で指先を揃える。
迷いと、少しの怖さと、でも確かに自分の言葉を選ぼうとする意志がある。
言葉がまとまったか、再び観測者を探すように顔を上げた。

icon
「僕たちを選んだ理由が、どうか“意味のあるもの”でありますように」


icon
「……あ、次に誰かを呼ぶときは。
 その人が怖がらないようにしてあげてくださいね~……」


なんて緩い言葉を添えて、はにかみながら
あなたはどうですか、と視線が問い直した。
Answer
icon
ひとみん
「…、これで最後、なのか…。…?」

彼が指す先には何も見えない。どうやら…何かがあるらしい。カンペか、カウンターか。はたまた、液晶だったり別の何かなのだろうか。

…やっぱりいいなあ、見てみたい。

いやまあ、そんなことは正直どうでもいい。今は…

icon
ひとみん
「この部屋に一言残すなら、か。それなら…」

じゃあ、なら最後に、どでかい一言、落としてやろうと、しばらく思案して。

元々、この部屋に対しては何にも思っていなかった。けれど、目の前の彼の一言一言で、いろいろな解像度が上がってきて。
しまいには、なんだかちょっと殺意のような苛立ちをも覚えている私がいた。

あの2人なら、ここのことどう考えるんだろう、と、また一瞬、脳裏によぎった。
さっきから、2人のことばかり考えちゃってる。なんでだろ。

やっぱり…何ここ〜!って笑ってるか、何ここ…って困惑してる2人が思い浮かんで、ちょっと笑ってしまう。
多分、2人は私が思ってるのとは違う反応をするんだろうけど、それでも、頭の中でも、2人がいることがなんか、幸せで。

そして、ふぅ、と、居場所のなくなった苛立ちを吐き出して。

そこでふと思い付いた、これだと言う一言。
なんせ、そんな高いところで本当に見ていられちゃ、こっちもたまったもんじゃない。
正直、苛立ちは吐き出したとはいえ完全におさまったわけじゃなく。

なら、と口を開いて。
どこかにいるかもしれない、この空間の持ち主に、この苛立ちを全て、ぶつけるように、乱雑に吐き出した。

icon
ひとみん
そこで見てねえでテメエも堕ちてこいあほんだら。かな。」

そう。一方的に見聞きされていることは、私に取ってはたいそう居心地の悪いものだった。何せ、誰がどこにいて何を聞いているのかわからないから。

そうして気持ちを一通り吐露できたらしく、私が静かになる頃には、かなり落ち着きを取り戻していた。
これで最後か、と思うと、なかなか、形容し難い感情がそこにあった。

今思えばわかる。多分、ちょっとの達成感と、戻ってしまう寂しさ。
そして、現実の苦しみが混ざり合った、変な感情だった。