
ひとみん
「…、これで最後、なのか…。…?」
彼が指す先には何も見えない。どうやら…何かがあるらしい。カンペか、カウンターか。はたまた、液晶だったり別の何かなのだろうか。
…やっぱりいいなあ、見てみたい。
いやまあ、そんなことは正直どうでもいい。今は…

ひとみん
「この部屋に一言残すなら、か。それなら…」
じゃあ、なら最後に、どでかい一言、落としてやろうと、しばらく思案して。
元々、この部屋に対しては何にも思っていなかった。けれど、目の前の彼の一言一言で、いろいろな解像度が上がってきて。
しまいには、なんだかちょっと殺意のような苛立ちをも覚えている私がいた。
あの2人なら、ここのことどう考えるんだろう、と、また一瞬、脳裏によぎった。
さっきから、2人のことばかり考えちゃってる。なんでだろ。
やっぱり…何ここ〜!って笑ってるか、何ここ…って困惑してる2人が思い浮かんで、ちょっと笑ってしまう。
多分、2人は私が思ってるのとは違う反応をするんだろうけど、それでも、頭の中でも、2人がいることがなんか、幸せで。
そして、ふぅ、と、居場所のなくなった苛立ちを吐き出して。
そこでふと思い付いた、これだと言う一言。
なんせ、そんな高いところで本当に見ていられちゃ、こっちもたまったもんじゃない。
正直、苛立ちは吐き出したとはいえ完全におさまったわけじゃなく。
なら、と口を開いて。
どこかにいるかもしれない、この空間の持ち主に、この苛立ちを全て、ぶつけるように、乱雑に吐き出した。

ひとみん
「そこで見てねえでテメエも堕ちてこいあほんだら。かな。」
そう。一方的に見聞きされていることは、私に取ってはたいそう居心地の悪いものだった。何せ、誰がどこにいて何を聞いているのかわからないから。
そうして気持ちを一通り吐露できたらしく、私が静かになる頃には、かなり落ち着きを取り戻していた。
これで最後か、と思うと、なかなか、形容し難い感情がそこにあった。
今思えばわかる。多分、ちょっとの達成感と、戻ってしまう寂しさ。
そして、現実の苦しみが混ざり合った、変な感情だった。