Chapter06-03

記録者: Πολύτιμος λίθος ρουμπελίτης (ENo. 204)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

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墓守はゆっくりと瞬きをひとつした。

それは人の仕草をなぞったものだったが、
人間のそれとは少し距離があるようにも見える。

カンテラの青い灯が、静かに揺れる。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

墓守は否定もしないし、肯定もしない。
それらを並べて、等しい重さで掌に載せているようだった。
その声には、感情らしい抑揚はほとんど無い。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

墓守はカンテラを持つ手を少しだけ上げる。
青い光を受けた枯れ木の意匠は、葉をつけている様にも見えた。

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死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

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「そしたら、次はここを訊こうか」


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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」

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「天国でも、地獄でも、
 次の生でも、あるいは……ただの静けさでもいい」


──あなたは死の向こう側に「続き」があると思いますか?
Answer
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「生物として限りある生命活動をする存在がそこにあるものであれば…たとえばその依代としている体が消滅したあと、自分の意識はどこへゆくのか思いを馳せるのだと思いますけれども…」

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「精霊は、そこに集まったエネルギーの塊です。それが意識や意思を持ち、記憶ができるほどに育ったものを、私たちは同族と認識しています。
ですから、それが出来なくなった時は、そもそもが自分の存在を認識すらできなくなります」

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「その状態を『死後の世界』と定義づけることはできるのですが…
『そこにあるエネルギーが個をなしていない状態』ですから、私たちもその状態になると、そこにその精霊がいたという認識が出来なくなります。意識が霧散して、お互いが存在を確認できなくなった状態が、生命体の『死』と同義となるかもしれません」

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「僕は…たとえ肉体がそこになくなったとしても…彼女の存在はずっと感じていられたら…いいなと…思う」

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「ええ。貴方は、それで良いと思いますよ」