Chapter01-04

記録者: 白翅舞蝶 (ENo. 238)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

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「では観察対象。それを踏まえて、次の問いです」


シャッターは下りないまま、
ただピントを合わせるようなジジ、という小さな音だけが聴こえてくる。

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「あなたの価値観を測ります。
 ──あなたにとって譲れないものは何ですか?
 自由でしょうか、信頼でしょうか、愛情でしょうか、それとも秩序でしょうか 」

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「その理由も含めて説明してください。
 対象や状況が変わった時、
 あなたの答えはどのように変化するでしょうか?」


──あなたは自らの価値観をどのように認識していますか?

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「譲れないもの、とひとえに考えても即座に思いつかぬ場合もあるでしょう。
 自由、信頼、愛情、秩序、誇り、忠誠、知識……無数の選択肢が考えられます。」


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「当機は観測を第一義として設計されています、
 どのような思考をせど、必ず『観測』という目的を前提に持ちます。

 これは精神的価値としての『誇り』や『忠誠』とは異なります。
 しかし、機能としての観測が揺るぎ得ない前提であるという点では、
 それらに類する不変性を持つと言えるでしょう」


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「思考の前提、当然と感じている事、
 それこそ、先の思考を組み立てる際に自らが重視したものを改めて噛み砕くと良いのやも知れません」


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「回答は単一である必要はありません。
 譲れない価値の間で揺れる感情や葛藤も、重要な要素です。
 必要に応じて検討を続けてください」

Answer
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「譲れないもの、ですか?」


思いもよらぬ問い。
これには答えを持ち合わせていない。
熟考する必要がありそうだった。

自分の中にあるもの、自分の過去を振り返り、一つ一つ拾って形を作っていく。

時間にして10分ほどだろうか?
やっと僕は口を開いた。

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「そうですねぇ………。きっと、僕の良心でしょうか?
譲れないものと言われて思い当たることは、実は何も無いのです。ただ、他者の幸福は願っていて、その行動が誰かにとって良きものとなるのであれば…………案外、僕はなんでもします。自分の命がそれで失われるとしても、その行動によって僕がその世界を二度と訪れられなくなっても、その方と永遠に会うことが叶わなくなったとしても、そうします。
ならば、その行動原理こそが”譲れないもの”なのだろうと僕は定義します。」