Chapter06-01

記録者: 神秘一派 (ENo. 90)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

相も変わらない様子の白い部屋には
いつも通り椅子が一つだけ。
座らずとも、答えずとも、あなたが望めば元の場所には戻れよう。
もし座るのならいつも通り──壁が開けて、〝向こう側〟に姿がひとつ。

そこにいるのは──人型ではあったが、どこか人らしくないものだった。
白い部屋の中、静かに座っているその姿は真っ黒な影法師のよう。
人では無く、どこか──夜そのものがそこに居るような、そう思わせる姿であった。

奇妙なものではあるが、それはきっとあなたを恐れさせるものではなく、
どこか安心感のあるものに感じられるのかもしれない。

夜空に月が浮かぶように真っ白な顔、
あなたの事をじっと見据えるひとみは夜の色。
驚く様子も慌てる様子も無く、そこに静かに在った。

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「やあ。いい夜だね」

中性的な声は響かず静かなもの。
あなたの言葉を待つように暫くじっとあなたを見詰めた後に、
ややわざとらしく、人間を模すように首を傾げる。
今までの問い人と同様、あまりあなたの事を正確に認識出来ていないのだろう。

とはいえ、ソレにとってその事はさして問題ではないらしい、
様子を窺った後、まっくろな口を開く。

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「コレはどうやら君に問い掛けるために呼ばれたらしい。
 ──ひとまずコレの事は『墓守はかもり』と呼んでくれればいいよ。
 本来は眠りたい子を眠らせるためのものなのだけどね」

コレ、というのは恐らく一人称であるのだろう。
墓守を名乗ったその影は、区切るようにカランと音を鳴らす。
手に持った銀色のカンテラの音のようだった。
枯木の意匠のカンテラに、青い光が点っている。

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君にとって死は、どれぐらい遠いものだろう?

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「ずっと遠くの終着点にあるものだろうか。
 いつでも首筋に感じるものだろうか。
 それとも、毎夜のように訪れるものだろうか」


──あなたにとって死とはどれぐらい遠いものですか?
Answer
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「夜が人の姿をして歩いているようだな」「神格化されかねんことだ」「まあ」「そうする思考がなければ」「なりもせんが」


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「言葉として」「場所として」「ただただ」「存在するだけの」「ものに」「意思疎通する形は」「必要のないものである」「というのが」「私たちの総括思考だが」


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「生き物にとって身近であるが」「同時に遠いものである」

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「活性と非活性」「起きることが生きている証であるならば」「眠りは死んでいる証ともいえるだろう」「常々、生き物は生きては死んでいる」


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「死が終わりであるかどうかは」「魂に意思があるかで変わるだろう」


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「魂すら死ぬことも含めるならば」「酷く遠いかもしれない」「あるいは」「月が身近になるがゆえに」「近いだろうな」