
「暇な時間って、“余白”みたいなものなのよねぇ~」

「やることが無い時にこそねぇ
ほんとの願望が、ぽろっと零れちゃうものだったりして」
三角帽子の先が、ゆらりと揺れる。
なんてことを疑問形で、わざわざ大きな声で宣った魔女は、
まるで何かを手繰るように自らの手を緩く握る。
──糸を引くような動きだ。

「じゃあじゃあ次は~~」

「リオちゃんの夢って、なぁに?」

「あ、夜に見る方じゃなくて将来こうなりたい!みたいな方の夢よ~!!」

「夢……?」
ほんの少し考え込んでから、苦く笑う。
ごまかすように、肩がすっと上がった。

「うーん……今は小さい工房だけどさ」
「ちょっと……出張版、みたいなの欲しいかも」
指で空中に四角を描く。

「街にも一個。二号店、みたいな……」
自分で言って、首を傾げる。

「……いや、夢っていうより、
兄貴の店の隣に置きたいってだけかも。業務連携してたら便利だし。
宝石の加工と錬金、行き来できたら効率いいし」
言い訳めいた言葉が次々と出てくる。
つれて、話す速さも増していった。

「どうだろうね。すぐ叶えられそうで……。小さい夢かも」