ふと、目が覚めたらまた、そろそろ見慣れ始めた景色で。
なんだか胸の中がぐちゃっとしていて、絶妙に落ち着かないそんな心を、無理やり押さえつけて。
ふっと現れたあなたに、目をやって、長々と並べられる言葉に、頭を痛くしながら耳を傾けていた。

ひとみん
「せ、精神界の…なんて?わからんけどまあ…似たようなもん、なんじゃないか…?」
自分がここへ来る時、決まって意識が飛んでいる時だから、そうじゃないかと仮定した。
まあ、彼の云々かんぬんは正直わかったものではなかったが…
とりあえずそう返した。彼の自己紹介も聞いたことだし、このままこっちの自己紹介も挟んでいくか、と、再び私は口を開く。

ひとみん
「アタシは瞳。新庄瞳だ。親しい人からはひとみん、とか呼ばれてる。」
何回目かの自己紹介をしつつ、この形式の問答にもやっと慣れてきたかな、とか、考えたり。

ひとみん
「えーと、この白い部屋をどう思うか、だっけ………」
この部屋に来るのも、たぶんもう3.4回目ぐらいだろう。
そんな中でどう思うか、なんて言われてもなあ、と、私はこの部屋に対して抱いた感情、感覚、感想なんかを思い出していた。
ここに来ることになったきっかけ、とか、あるのかな。
あいつが逝ってしまったあとなのは確実、なんだろうが………それ以外はいまいち、原因も要因もわからない。
いや、そんなことはいまは関係ないだろう。今の質問はこの部屋について、だ。
この部屋について、か。ちゃんと考えたことってなかったかも。
この部屋は、見渡す限り白くて。
それでいて、知ってるような、知らないような空気が混ざった匂いがして。
何て言うか………

ひとみん
「来たことあるようで無いところ、かな。」
そんな感想だった。この空間は知らないもの、だけれど。匂いが、空気が、なんだか知っているようなそんな気がして。

ひとみん
「あと、来たら質問される場所、ね。」
これは、本当に率直で、かつ私がここに来るのがはじめてでない、ということを暗に示したつもり。
率直と言えば、この2つしかないかな、と。
あんまり淡白すぎるのも、向こうにとって失礼だろうか。
もう少し掘り下げた方がいいかもな、なんて思って、聞かれてもいないのに口を開く。

ひとみん
「詳しく言うなら…なんだろう、安心と不安が混ざった感じの空気…って言うのかな。緊張感とゆるさの中で問答を繰り返すような…そんな感じ?」
いざ形容してみると難しいな、と、彼の文章の形成力に驚いて。
スルスル出てくるなら、いつもこう言うふうに、色んなことを形容して話してきてるんだろうな、と。
そんなめんどくさそうなことよくするな、なんて思いつつも、これ以上特に答えることもないし、そのまま私は次の質問を待った。