
「満足…………」
己のこれまでを思い返す。
牢に繋がれていた時期が長かった。
彼が“王”になったのは、最近の話。

「私はそんな経験、ないし…………」
「…………経験する前に、死ぬのだろうよ」
遠く。黄昏の足音が聞こえている。
それはまだ遠いが、そう遠くないものだ。
己はきっと、老いる前に死ぬからさ。

「私は…………
王としてこれまでやってきたことが、
報われて欲しい」

「私の長い改革が全て終わった時、
その時はようやく“満足”を抱ける?
しかし、片付けるそばから問題が出てくるしな…………」
魔導王国に潜む病魔は、根深い。
だから。だから。たぶん。

「…………民からの笑顔を見られたのなら。
民から王への感謝の言葉を聞けたなら」
「その時は…………きっと」

「……この改革に、意味があったと思える。
小さな満足感と達成感を得られるはずさ。
大きな目標は果たせずとも、ね」
思考しながら、言葉を紡ぐ。

「そんな小さな達成では、
“もうこれでいい”にはならない。けれど、
“これまでこの道を歩んできて良かった”には
なるのだろうさ」

「…………そう。
ちょっと灯がともるのさ。
そんなことの積み重ねがいつか、
大きな灯火になると信じているよ」

「そのように
小さな達成を重ねていったら…………
いつの日か、
“もうこれでいい”になるんじゃないのか?」
目標の果てをどうするかは
自分次第だ、と王は語る。