
「まぁ…………あの話は重かったし。
気にしなくても構わない」
肩を竦める。
親に愛されるだとか、そんな話をした。
続く問いに、視線、逸らして俯いた。
身に覚えがあり過ぎる。

「……私は王だ。
“王”としての返答ならば、
それには否を返すべきなのだろう、が」

「…………いや、違うか。
迷わない王は、それはそれで危険だ」
ぶつぶつ呟いて、顔を上げた。

「…………まぁ正直、疲れる、よ。
私は王だからね、責任もとても重い」

「私の成している改革は
一部の民の望みからはかけ離れているし」
「私が救おうとした人々から、
刃を向けられたこともあったし」
その右腕に、力は入らない。
改革の裏で哭く声に耳を傾けなかった、罰だ。

「…………本当は、いつも怯えている、迷っている。
怯えて迷っては自問自答している。
自分の成すことと、その意味について」

「誰もを救える訳じゃない。
救う民は必然的に、
こちらが選ぶことになる」

「なればこそ。
そこから零れ落ちた人々に、
私が憎まれても仕方ない」
心に灼き付いて離れない光景がある。
幼い子供の憎悪の言葉、その無惨な死に様が。

「……疲れるし、重いし、苦しいさ。
けれど私は王だから、
どうしてもそれを投げ捨てられない」
“シャルティオが王だからこそ”、
託した人々の存在を知っている。
自分じゃなきゃ、ダメなんだ。

「…………それでも、やらなきゃ」
“自分しかいないから”その感覚は。
いつか対峙した魔局長と、同じものだった。