Chapter03-01

記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2026-01-04 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

またあの部屋に来たようだ。
小さな部屋には相変わらず椅子は一つきり。
壁を向いた椅子の先には、やはり何も見えない。

──あなたが椅子に座れば、
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。
三角に身体を縮めて座っていた
長い髪を気だるげに結んだ白い服の女が、
あなたに気付いた様子で緩慢に顔を上げた。

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「……えー……なんか居るんだけど。どゆこと?」

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「あー……まあ……ども。
 名前とか……あー…じゃあ、シロでいいや、この部屋白いし。
 君は……じゃあクロ。なんかぼんやりしてるし」

知らないもの同士、名前を名乗るモンでもないでしょうと。
シロを名乗った女は畳んだ身体をほどいて、
んん、と小さな声を漏らしながら伸ばす。

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「……こーいうのって、なんかあったよね。
 白い部屋に閉じ込められて……なんか……出られない部屋的な?
 初対面でこんなんされてもおもんねー……」

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「なんかこの白さ落ち着かねー……、
 内側をざわざわ触られてるみたいなー……。
 なんでこんなとこにウチら集められたんだろ。おもろい話なんてできねーっつの……」

嘆息ひとつ零した後、
白い部屋の隅の方に目を遣って、女はぼやく。

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「まー……夢ん中……なんかな。何話してもいいっちゃいいのか。
 クロだってウチの無意識が作った偶像みてーなもんかもだし……
 返事返って来るかもわかんねーし、適当こくか」

女は髪を束ねているリボンをいじる。
それは落ち着かない子どものようであり、退屈を紛らわせる大人の仕草にも見えた。

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「クロはさ、生きる理由とかって何だと思う?


──あなたには生きる理由はありますか?

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「別に生まれた時点で生きる理由とか要らね―とは思うけど、
 あった方がちょっと嬉しいというか、豊かな気がするんだよね。
 親が望んだから生まれた、以外の意味があった方が……なんかいいじゃん?」

言いながら、女はリボンをきゅっと締め直す。
その指先だけは、妙に確かだった。

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「生きる理由ってより人生の目的……って言う方が正しいのかも。
 小さい時からなんか、皆と一緒に~とか、大人の言う事を聞け~とかで
 結局どう生きたいかって全然分かんないなーってさ?

 ガチガチに矯正したくせに、急に「自分のやりたい事をやれ」って放り出されて、
 なんかそのまま今になっちゃった、みたいなさ……」

あなたをじっと覗き込む。
その視線は、答えを求めているようで、ただ誰かと共有したいだけのようでもあった。

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「クロはそういうのあんの?
 ウチも生きる理由っての──拾えるもんなら拾いたいんだよね。……皆目的に向かって歩いてるのに、
 ウチ一人だけ足を止めてる気がして、怖いからさ」

Answer
 気が付けば再び、白い部屋。
 またか、と思った。
 次に投げられるトイカケは、
 果たしてどのようなものか?

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「…………“どういうこと?”は、
 私の台詞でもあるんだが…………」

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「……クロ?
 …………まぁ、好きに呼べば良いさ」

 少年の色は白っぽいけれど。

 これまでの相手たちとはまた違った雰囲気だ。
 窺うように、貴方を見ている。

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「…………生きる、理由」

 このような問いに関しては。
 これまでも、一貫しているな。

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「私は王だ。王でなければならない。
 そして、私にしか出来ないことがある」

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「…………だから。
 それが、私の“生きる理由”だよ、シロ」

 自分は王だ。王なんだ。
 その地位が、立場が、己を己たらしめる“理由”だ。

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「“人生の目的”と言い換えるなら……それは、
 魔導王国を変えること

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「私の国は、弱い立場の人間を虐げることで、
 栄華を極めてきていた。
 その輝かしきの裏に、
 数多の犠牲と涙があった」

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「それに変革をもたらすことが、
 私の生きる理由であり目的だ」

 声も瞳も凛、として。
 揺るがない。

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「…………そのように、私は
 立場のある人間だから…………」

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「君が望んでいるような、
 “一般の人間”の返答は
 出来ないかも知れないな」

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「王なんて立場の人間、
 “普通”から見たら殿上人であろうさ」