Chapter01-05

記録者: Hydromerina Floripisceae (ENo. 237)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-31 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「それは」
「他人が決めることじゃないの?物事の価値なんて」
咲き誇る花は己の蜜の味を知らないが、虫たちの世界では繁殖のために花が大きな価値を持つ。生涯に財を残さず死んでいった画家の絵が、時を経て人の関心を集めて美術館の展示に飾られるようになる。
それが良いか悪いか。美しいか醜いか。決めるのはいつだって他者だ。己の可能性を伸ばすも、殺すも。この世に存在、してしまえば、それらは常に生きていようが死んでいようが他者の目に晒される。ゆえに今の人魚では、この質問に回答することができない。
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「わからない」
「私に何ができて、何の役に立つかとか」
「今は全部、もう。どうだっていい」