TOIKAKE

記録者: 薄場心檻 (ENo. 146)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-31 04:00:00

to ask
慣れたはずの白い部屋、しかし何か違和感を感じながら首を傾げ、イスに腰を下ろしただろう。
そうして向かいに現れた黒い影に目を見張り、思わず驚いて一度席を立つ。
イスごと消えた向かいの気配を確認して、そういうものだったと思い出し、一瞬迷った末もう一度腰を下ろした。

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「ごめん、こっちに座ったのは初めてだったから、びっくりしちゃってさ」

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「えーっと、そっちにいるの、誰なんだろ? キューさん? シロちゃん? あ、うちアマリエちゃんに聞きたいことあったんだよね」

今回はこちらが問いかけをする側だとなんとなく理解してから、ふっと思い出した様子で言葉を続ける。

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「アマリエちゃん、きっと好きな人がいるんだよね? その人はどんな人?」

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「うちの勘違いだったら、好きなタイプ教えてよ。恋バナの続きしたかったんだよね」

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「うちは好きな人はいないけど、好きなタイプは頭が良い人かな。色々教えてもらったり、うちが話すこと分かってもらえたら嬉しいと思うから」

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「世界を超えた恋バナなんて超貴重な体験じゃん? 答えてくれたら嬉しいなー」

屈託無く笑いかけて、聞きたいことを聞ければ興味深そうに耳を傾け、話してくれてありがと~、とお礼を行って消えていくだろう。
Answer
椅子に座りと立ちとを繰り返したあなたを見て、
吸血鬼はくすくすと笑いを零す。
椅子の位置が逆である事に此方は直ぐに気づいたらしく、驚きは
あなたが驚いている間に終わってしまっていたらしい。

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「ふふっ、前みたいにリエちゃんと呼んでくれていいのよ?
 確かに恋バナをするなんてとっても貴重だわ」

あなたの気さくな様子に吸血鬼もまた楽し気にして、
それから、懐かしい昔を思い出すように遠くを見る。
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「……人間の男だったわ。あなたよりもうちょっと年上だったわね。
 髪も髭もぼさぼさで冴えない見た目の男だったんだけど、
 私が吸血鬼だって知っても……物怖じしなかった」

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「……彼は吸血鬼ハンターだったの。
 でも私はそんな事知らなくて、ただの人間だと思っていて……
 たったそれだけの事に、すごく嬉しくなってしまった。
 吸血鬼だと知って怯える人とか、化け物扱いする人ばっかだったのだもの」

自嘲と後悔、そしてどこか切ない面持ちをして、
首を傾げるのに合わせてさらりと金髪がこぼれる。

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「何度も彼は訪れてくれた。
 ほんとうに素敵な時間だったわ。
 ……彼と過ごす何でもない時間は、楽しかった」

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「……何年前の事だか、私にはもう分からないのだけどね。
 他ならぬ彼に封印されて、今……こうなっているから」

吸血鬼ハンターに目を着けられ、絆すつもりで交流をされたのだろう。
この吸血鬼はまんまとその思惑に嵌ったのだ。

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「……彼が私を滅ぼさなかった理由が、ずっと気になっているの」

それは殆ど独り言のように紡がれるそれは、
見た目相応の幼さをはらんでいた。
……それからぱっと顔を上げてあなたを見るのは、元の調子の吸血鬼だった。

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「ふふっ、実は私って恋愛経験は乏しいの。
 だからあなたや──色んな人から愛の話が聴けて興味深かったわ」