あなたの言葉が空間に染み込むように静かに落ちていく。
吸血鬼はそれを逃さず掬い上げ、ゆるく微笑む。

「ええ。とても“あなたらしい答え”だわ」
白い部屋の境界がふっと揺らぐ。
輪郭が削れ、床と壁の境目が淡く溶け合っていく。
まるで視界が曇るように、世界そのものが退いていく。

「愛はね、いつだって“行き先”を自分で決められるものじゃないわ。
でも──あなたがどこを望むかで、
その結末に“どんな色をつけるか”は変わっていくわ」
彼女の輪郭もわずかにぼやけてみえてくる。
けれど、その赤い瞳だけは最後まで揺るがずあなたを見ていた。

「……ええ。これで終わり。
“今回のあなた”と話すのは、これが最後ね」

「此処での話なんて忘れてしまっても構わないわ。
でもいつかあなたの“愛の答え”が変わったとき、また聞かせて?」
部屋はほとんど形を失い、
あとに残るのは薄い光と、彼女の声だけ。

「さあ、戻りなさい。
あなたの現実へ──あなたの愛が続く場所へ」
世界が静かに途切れる。
まばたきの合間に、白が完全に消え──
あなたは夢のように白の水面からゆっくりと浮上していった。
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