ともに静けさを味わい、墓守の言葉を待っているだろう。
彼の答えに、少しだけ首を傾けて微笑む。

「そうね。私はあまり死を身近に感じてはいないから、全てがぼんやりと形がないわね」
カラン、とからっぽな音が白い部屋に響いただろう。
次の問いに夜色の瞳を見つめ返した夕日色は、そのまましばらく沈黙していた。
見つめ合ったまま、重い沈黙が部屋を満たしていく。
ようやくそれを打ち破ったのは、艷やかな唇からだった。

「正確に言えば、幸いなことにまだないわ。私はまだ誰も、死に大切な人を奪われたことはないの」

「けれどね、もしもそうであった方がまだ、気持ちの置きどころがあったでしょうに、と思うこともあるの」

「贅沢な話ね」
僅かに自嘲の色を含んだ声が低く部屋に響き、消えていくだろう。
再びの沈黙の中、ふと夕日色の視線が脇にそれ、床へと落ちる。
そのままこぼすようにポツリと言葉が紡がれる。

「死を見つめる瞳を知っているの。もうそれしか映すものを失った瞳を」
だから隠してしまったの。
口の形だけがそう動き、沈黙が部屋を満たす。