今度の沈黙は、同じように口をつぐみ、前の言葉の余韻を味わっていただろう。
2つの呼吸音だけが響く部屋に次に浮かべられた言葉にも口を開かない。
鮮やかに思い浮かべられた死の先は、死を思うからか、生を思うからか。
そのどちらからとも近いとも遠いともないだろう少女は、冷たく氷ったように唇を閉ざしている。
墓守の言葉と、カランと小さなカンテラの音が響き、次の問いかけを投げられて、ようやく溶け出した唇が開く。

「どうかな~。あるといえばあるよ。身近な人が死んじゃった経験。パパはもう、うちにいないから」
それに、と胸の内だけで呟く続きは口に出さない。

「真っ暗になるよね。身近な人が死んじゃった時って。別に急に夜になったとか電気が消えたとかじゃないんだけどさ、全部が暗くなるの」

「どうやって息してどうやって歩いてたっけって思う。どこにも行けなくなった気がする。街ちゃんとママがいたから、そんなことないってすぐ気がつけたけど」

「でも意外とさ、そうなんだよね。どうやって生きてるのか、どうやって進んでるのか、考えてみたら、それが当たり前なんてことないんだよね」

「次の瞬間、煙のように消えちゃうなんて、全然ありえるんだよね」
そう言って、冷ややかな笑みを浮かべただろう。