Chapter06-03

記録者: ダミアン・ガルーナ (ENo. 145)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-24 04:00:00

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墓守はゆっくりと瞬きをひとつした。

それは人の仕草をなぞったものだったが、
人間のそれとは少し距離があるようにも見える。

カンテラの青い灯が、静かに揺れる。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

墓守は否定もしないし、肯定もしない。
それらを並べて、等しい重さで掌に載せているようだった。
その声には、感情らしい抑揚はほとんど無い。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

墓守はカンテラを持つ手を少しだけ上げる。
青い光を受けた枯れ木の意匠は、葉をつけている様にも見えた。

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死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

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「そしたら、次はここを訊こうか」


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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」

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「天国でも、地獄でも、
 次の生でも、あるいは……ただの静けさでもいい」


──あなたは死の向こう側に「続き」があると思いますか?
Answer
つられるようにゆっくり瞬きをする。こちらは自身を落ち着かせようとするように、呼吸に合わせてゆっくりと。
再び肯定も否定もしない返答に、微笑んで頷くだろう。

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「そうだね、みんな感じ方はそれぞれだね。墓守ちゃんの意見もちょっと知りたいけど……」

こちらの問いかけは届きにくいことを察して、言葉尻を濁らせた。
予想通り返答はなく、次の問いかけに移ったのに、気持ちを切り替えて考える。

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「ここまでが死の前で、死の先、かぁ」

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「子供の頃聞かされたのは、天国と地獄の話だね。悪いことしてると地獄に行っちゃうからいい子でいなさい、って。」

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「俺はね、生まれつき悪い子側だったから、絶対に地獄に落ちちゃうって思ってて、すごく嫌だったなぁ。どのくらい頑張ったら天国に行けるんだろう? って思って頑張っても、いい子に出来なくてさ」

口調は軽く、表情も柔らかく微笑んでいるのとは裏腹に告げる。そうだった過去を責めるわけでもなく、ただ事実として過去を振り返って笑っていた。

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「そうだなぁ、今は生まれ変わりでも、天国でもいいから、死んだあともいい感じに楽しい世界が続いてたら良いな~って思うかな?」

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「頑張った子も、頑張ってない子も、みんな不自由なく幸せになれてたら、ちょっとは死が怖くなくなるかな」