Chapter06-05

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-24 04:00:00

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「答えてくれてありがとう」

それが答えそのものに向けられたものか、
ここまで付き合った事へのものかは分からない。
墓守はあなたの言葉に、それ以上踏み込まなかった。

夜の風が吹いたように、
白い部屋の空気が、ほんの少し揺れる。

カラン。

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「コレはね、眠りたい子には眠りを与えるものなんだ。
 望まれた分だけ、応えるだけのモノに過ぎない」

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「何が正しい終わりかを決めたり、
 意味を与えたりする事は、コレの役目じゃない。

 意味を探して、悩んで、選ぶのは……
 いつだって、生きているものたちの仕事だ」

夜色の瞳が、やわらかく細まる。

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「……最後のトイカケにしよう」

カンテラの灯が、ゆっくりと脈打つ。

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「もしも終わりを選べるとしたら──
 君は、どんな風に終わりたい?

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「静かな眠りか。誰かの手を握ったままか。
 役目を果たした後か。
 それとも……まだ足りないと、抗う終わりか」

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「どれが正しいとか、立派だとか、コレは言わないよ。
 ただ、それが“君の望み”である事だけが大事なんだ」

一拍。

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君は、どんな終わりを望んでいる?


──あなたはどのような終わりを望んでいますか?
Answer
 墓守は、フェルヴァリオの返答にゆっくりうなずいた。

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「──答えてくれて、ありがとう」

 死に向けられた礼なのか。
 あるいは、ここまで沈黙を共有したことへの礼なのか。
 どちらとも取れたが、墓守はそれ以上踏み込まない。

 夜の風が、青い灯を揺らしカラン、と音が鳴る。

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「コレはね、眠りたい子には眠りを与えるものなんだ。望まれた分だけ、応えるだけのモノに過ぎない」

 淡く脈打つ灯が、心臓の鼓動のように上下する。

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「……最後のトイカケにしよう。
 もし終わりを選べるとしたら──
 君は、どんなふうに終わりたい?」

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「静かな眠りか。誰かの手を握ったままか。役目を果たした後か。それとも……まだ足りないと、抗う終わりか」
 
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「どれが正しいとか、立派だとか、コレは言わないよ。ただ、それが“君の望み”である事だけが大事なんだ」
 
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「どんな終わりを望んでいる?」




 フェルヴァリオは、肩を震わせた。
 焰を弄んでいた指先すら、冷えていた。

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「……とりあえず今は、温まりたい。寒すぎる」

 返答はひどく現実的で、逆に生々しかった。

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「答えは保留にしたい。
 まだ自分に続きがあると思ってるから
 明日も仕事があるし。依頼は来るし」

 火を増やしながら、ぽつぽつと言葉が落ちた。
 そこで、ふっと声がゆるむ。

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「もしオレが死んだら──
 白い花を添えて、明るく歌ってくれたらいい」

 視線が墓守から離れて、どこか遠い未来へ向く。

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「未来でまた逢おうってね……?」

 フェルヴァリオは鞄をガサゴソ漁りはじめる。
 凍りつく指で、クッキーらしい包みを取り出す。

 寒い夜に食べれば、少しは力になる。
 終わりよりも、今生きるほうが優先だった。