墓守は、何も言わずにただそこに在った。
評価も、肯定も、否定もない。
夜がそこにあるように、墓守は静かに佇んでいる。

「……うん」
それ以上の言葉は無かった。
意味を持たない、ただ“聞いた”という気配だけが残る。
カラン。
カンテラが鳴り、青い灯が少しだけ強まる。

「もう十分だ。
今夜は、ここまでにしよう」
青い光がゆっくりと広がり、
白い部屋の輪郭をやさしく滲ませていく。
壁も、床も、天井も──境目を失い、夜に溶けていく。

「夜が来る 夜が来る──♪」
墓守は小さく歌うように零して、そっとカンテラを傾けた。
灯の中から、夜が零れる。
それは冷たくもなく、重くもなく、
まぶたの裏に静かに降り積もるような闇だった。
意識が、ゆるやかに沈んでいく。
問いも、言葉も、白い部屋も、
すべてが遠ざかっていく。
最後に聞こえたのは、穏やかな声。

「君に、良い眠りがあるといいね」
カラン。
その音を境に、
あなたは深い眠りへと落ちていく。
——そして瞼を開いた時、
そこはもう、元の世界だ。
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