Chapter06-04

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-24 04:00:00

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あなたの答えを聞いたあと、
墓守はしばらく何も言わなかった。

白い部屋の静けさが、
ほんの少しだけ深くなる。

揺れながらも消えない蒼い灯は、
まるで夜が呼吸しているようだった。

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「“続き”をどう思うかは、
 きっと君がどれだけ死を近くで見てきたかにも
 関係している」

最初の、距離の話とも繋がるだろうねと添えて、言葉を続ける。

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「死は、概念のままでいるうちは扱いやすいものだろう。
 言葉に出来るし、考えとして整理する事も出来る」

カラン。

けれど、と前置くように、
カンテラがと小さく鳴る。

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それが“自分の傍”に立った瞬間──
 死は、途端に重さを持つ

夜色の瞳が、ゆっくりとあなたを見上げる。

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「君は──死を、見つめた事があるかい?

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遠くの概念としてじゃなく、
 自分や、誰かのすぐそばにあるものとして



──あなたは死を見つめた事がありますか?



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「死というものは、
 考えるより先に“触れてしまう”事がある」

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「誰かを失った時。自分の命がほどけかけた時。
 眠りと目覚めの境目で、これはもう戻れないのではないか、と感じた夜」


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「そういう瞬間にね、
 死は概念でも物語でもなくなる。
 そうして死を直視する──それが、見つめるという事だ」


墓守はそこで言葉を切り、
逃げ道を用意するように、穏やかに続けた。

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「嗚呼、勿論。思い出したくないなら、
 無理に答えなくてもいいよ」

Answer
 フェルヴァリオの答えのあと、墓守は何も言わなかった。

 沈黙は、ただの空白ではない。
 無音が、音よりも鋭く胸を刺す。
 白い部屋はさらに白く、夜そのものが呼吸して、
 静寂に重さを与える。

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「“続き”をどう思うかは、
 きっと君がどれだけ死を近くで見てきたかにも
 関係している」

 淡々と、墓守は石碑を撫でるような声で言った。

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「死は、概念のままでいるうちは扱いやすいものだろう。
 言葉に出来るし、考えとして整理する事も出来る」

 カンテラがカラン、と小さく鳴る。
 青い灯が宵闇をひっかき、問いを落とす。

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「それが“自分の傍”に立った瞬間──
 死は、途端に重さを持つ」

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「君は死を見つめたことがあるかい?」

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「誰かの抽象でも、観念でもなく。自分や、誰かのすぐそばにあるものとして。」




 フェルヴァリオは、すぐには言葉にならなかった。
 喉の奥に、こおりの欠片が引っかかったみたいで。

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「……たくさんあるね」

 声は、焰の奥から押し出される。

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「なんなら──
 いまも多分、見つめてる。」

 錬金術で使う素材そのまんま。
 天秤に載せると、空気が変わる。

 ひとつ間違えれば、命が燃え落ちる。

 瞬間の圧、気配。

 空気が迫ってくる⸻
 喉をきゅっと締めつけ、呼吸を奪う。

 波のようだった。
 押し寄せてきて、逃げ道を消し、追いつかれる寸前の息苦しさ。

 思わず、手を伸ばしたくなる。
 何かにしがみついて、自分がまだ「生」に居る証を確かめたくなる。