カンテラの青い灯がふるりと揺れた。
炎ではなく、氷のゆらぎのような光。

「君はそう捉えるんだね」

「終わりだと言う子もいるし、
救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
言葉に出来ないまま黙る子もいる。
ただしい答えは無いというのに、
いつだって死はそこにある。
死は、受け取る側の数だけ姿を変える」
墓守は、責めない。
肯定も否定もしない。
ただどれも等しい重さで掌に乗せるだけ。

「コレが見てきた限りでは、
死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

「死の“先”の事は知り得ない。
コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
眠りを与える所までしかコレには出来ない」
青い灯が少し掲げられ、光をまとった枯れ枝の意匠が、
葉を揺らしたように見える。

「そしたら、次はここを訊こうか」

「君は、死の先に
「続き」があると思っているかい?」
⸻
フェルヴァリオは、息を吸う。
胸がきゅっと痛む。

「あったら、嬉しいとは思うよ。
けど……多分、続きなんかない。」
焰が揺れ、声がかすれる。

「意識も意思も⸻
ぷつんと切れて、終わるんだろうね。」
言葉が落ちると同時に、脳裏に白い雨の風景が割り込んだ。
降りそそぐ雨粒が人を凍らせ、声ごと時間を封じ、
透明な水晶の像に変えていく。
ひとつ、またひとつ。
世界が静かに死んでいく。
寒い。
寒くて仕方ない。
白い部屋すら、パリ……パリ……と
凍り割れる音を立てて崩れる気がした。
焰だけが、フェルヴァリオを現実へ繋ぎ止めていた。