Chapter06-03

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-24 04:00:00

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墓守はゆっくりと瞬きをひとつした。

それは人の仕草をなぞったものだったが、
人間のそれとは少し距離があるようにも見える。

カンテラの青い灯が、静かに揺れる。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

墓守は否定もしないし、肯定もしない。
それらを並べて、等しい重さで掌に載せているようだった。
その声には、感情らしい抑揚はほとんど無い。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

墓守はカンテラを持つ手を少しだけ上げる。
青い光を受けた枯れ木の意匠は、葉をつけている様にも見えた。

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死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

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「そしたら、次はここを訊こうか」


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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」

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「天国でも、地獄でも、
 次の生でも、あるいは……ただの静けさでもいい」


──あなたは死の向こう側に「続き」があると思いますか?
Answer
 カンテラの青い灯がふるりと揺れた。
 炎ではなく、氷のゆらぎのような光。

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「君はそう捉えるんだね」

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「終わりだと言う子もいるし、
 救いだと言う子もいる。出来事だと割り切る子も、
 言葉に出来ないまま黙る子もいる。

 ただしい答えは無いというのに、
 いつだって死はそこにある。
 死は、受け取る側の数だけ姿を変える」

 墓守は、責めない。
 肯定も否定もしない。
 ただどれも等しい重さで掌に乗せるだけ。

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「コレが見てきた限りでは、
 死の“手前”までは誰もが語れるものだ」

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「死の“先”の事は知り得ない。
 コレだって、死神と語られる事こそあるけれども、
 眠りを与える所までしかコレには出来ない」

 青い灯が少し掲げられ、光をまとった枯れ枝の意匠が、
 葉を揺らしたように見える。

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「そしたら、次はここを訊こうか」

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「君は、死の先に
 「続き」があると思っているかい?」




 フェルヴァリオは、息を吸う。
 胸がきゅっと痛む。

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「あったら、嬉しいとは思うよ。
 けど……多分、続きなんかない。」

 焰が揺れ、声がかすれる。

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「意識も意思も⸻
 ぷつんと切れて、終わるんだろうね。」

 言葉が落ちると同時に、脳裏に白い雨の風景が割り込んだ。

 降りそそぐ雨粒が人を凍らせ、声ごと時間を封じ、
 透明な水晶の像に変えていく。
 ひとつ、またひとつ。
 世界が静かに死んでいく。

 寒い。
 寒くて仕方ない。

 白い部屋すら、パリ……パリ……と
 凍り割れる音を立てて崩れる気がした。
 焰だけが、フェルヴァリオを現実へ繋ぎ止めていた。