Chapter06-02

記録者: フェルヴァリオ (ENo. 64)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-24 04:00:00

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あなたの答えを聞いて、
墓守はすぐに言葉を返さなかった。

青い灯の入ったカンテラが、わずかに揺れる。
白い部屋の中でその光だけが夜の色を帯びて、
影の輪郭を柔らかく滲ませていた。

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「なるほどね」

それは評価でも否定でもない、
ただ静かに“受け取った”という調子の声だった。

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「……唐突な問い過ぎただろうか。
 コレは墓守だから、死というものに密接でね。
 コレが君に問いを投げるなら、こういう話だろう」

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「気分を害したならすまないけれど、
 コレはこの次もこういうのを問う事になるよ。
 嫌なら、眠りに落としてあげよう」

ややわざとらしく問いの理由を着け足して、
それから親切心だろうか、そう言葉を続けた。

あなたが望めば、墓守はカランとカンテラが音を鳴らす。
それに合わせてあなたは眠りに誘われるのかも知れない。


……望まないのであれば、墓守は言葉を次ぐだろう。

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「死を遠いと感じるのは、
 まだ“振り返らなくていい”場所に居るから。
 近いと感じるのは、既に何度も
 その影を見てきたからなのかもしれないね」


先ほど投げて答えられた問いについて、影はそう静かに夜に言葉を溶かす。
それから、夜色のまなこが再びあなたを見据えた。

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「そしたら、次のトイカケだ。
 君は、死をどんなものだと思っている?

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「終わりか、救いか、
 それとも、ただの出来事か」


──あなたは死をどのようなものと捉えていますか?
Answer
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「なるほどね」

 青い灯の入ったカンテラが、わずかに揺れる。
 白い部屋の中でその光だけが夜の色を帯びて、
 影の輪郭を柔らかく滲ませていた。
 どこか満足したように肩を揺らした。

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「……唐突な問い過ぎただろうか。
 コレは墓守だから、死というものに密接でね。
 コレが君に問いを投げるなら、こういう話だろう」

 カンテラが、カランと乾いた音を響かせた。
 灯りは火ではなく、まるで死そのものの光。

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「そしたら、次のトイカケだ。
 君は、死をどんなものだと思っている?」

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「終わりか? 救いか? それとも、ただの出来事か?」




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(寒い。寒すぎる……)

 フェルヴァリオは肩を震わせた。
 雪景色の残像が喉を締める。
 抗うように、掌の焰を増幅させる。赤く、激しく。

 負けてたまるか。
 意地だけが呼吸を支える。

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「錬金術としては⸻」

 1拍、焰が揺らぐ。
 そして、淡々と告げる。

 
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「死は、出来事として扱ってるよ」

 死体は素材。
 魂の欠けた空洞も現象のひとつ。
 天秤に乗る事象。

 フェルヴァリオの熱だけが、凍りかけた世界で燃えていた。