
「……ええ。なるほど。とても良いわ」
彼女は椅子の背に淡く寄りかかり、足を組み替える。
ゆったりとした仕草なのに、その赤い瞳だけはどこか鋭く、
あなたの胸の奥を探るように光っていた。

「“差し出す”という行為はね、
裏返せば“奪われてもいい”という覚悟なのよ。
時間を奪われても、血を奪われても、自由を奪われても──
それでもいいと思えるほど誰かを好きになる。
それが、愛の輪郭を決めると私は思っているの」

「だから、どこまで差し出せるか──
その答えは“あなたがどんな愛を求めているか”を暴いてしまう」

「……忠告でも何でもないわ?
ただの私の持論で、ただの老婆心と思ってもらって結構よ」
コン、と靴先が床を軽く叩く。
それは思索の区切りでもあり、次へ続く扉のノックのようでもあった。

「ねえ。差し出せる量が“あなたの愛”を示すのだとしたら……
じゃあ、“相手の愛”はどう測ればいいのかしら」

「どうしたら誰かの“愛の深さ”を確かめられるのかしら?」
──あなたは相手の愛を測るためにはどのような事が必要だと思いますか?