
「……自由って、孤独とよく似ているの。
誰にも触れられないから、何だってできるけれど……
誰も自分を求めないという事でもあるわ」

「愛は自由を奪う。でもね、
愛だけが“そのひとを一人じゃなくしてくれる”」
私の持論だけれどもね、とあなたの答えのあとに告げ、
彼女はその言葉を噛みしめるようにゆっくり瞬きをした。
真っ白な部屋の光が、金髪に柔らかい縁を描き、赤い瞳に深い影を落とす。
吸血鬼は足を組み直し、少し身を乗り出す。
声の高さは変わらないのに、不思議と距離だけが縮まったように感じる。

「……面白いと思わない?
誰かを好きになるって、それだけで“前の自分”に戻れなくなるの。
行動も、選択も、価値観すらも……気付けば誰かの影響で変わってしまう」
ふわりと肩をすくめて、少女は続ける。

「私はね、愛って“どれだけ差し出せるか”で深さが決まると思ってる。
時間でも、血でも、名前でも、自由でも、命でも。
捧げた分だけ、その人はあなたの中に根を張るの」
コン、と椅子の脚が床を叩く。
アマリエはあなたへまっすぐ身体を向け、声を落として問う。

「だから──あなたはどう?」

「愛のために、自分のどこまでを差し出せる?」
──あなたは愛のためにどこまで出来ると思いますか?