Chapter03-05

記録者: スキア・ノワール (ENo. 28)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-21 04:39:12

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あなたの言葉に黙って頷きながら、
思考を深めるように髪を弄る手の動きは止まっていた。

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「……価値、なんて偉そうな言葉を使ったけどさ」

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「結局、自分がその生き方で満足できるかどうか
 みたいな話、な気もしてくるね」

短く言葉を切りながら、息を吐く。
沈黙は、ただ心の中を整理する時間のようだった。

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どうすれば、満足って思えるんだろうね

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「もちろん、簡単に“ああ、これで満足!”って思えれば楽なんだけど……
 現実はさ、どんどん次が出てくるし、思い描く理想と現実の間に隙間があって……」

小さく肩をすくめ、思い出したかのようにまた手が髪を弄った。

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もうこれでいいって思える瞬間……、
 クロは、経験ある?……どうすれば自分が満足できるかって、分かる?」


──あなたにとって“満足”とは何だと思いますか?

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「……“満足”って多分、別にゴールじゃないんだよね」

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「結局“ああ、今ここで自分のやりたいことできてるな”って瞬間のこと……なのかも。
 誰かに褒められたり、認められたりすることだけじゃなくて、
 ただ自分の心が納得してるっていうか」

髪を指先で絡めた手をそっと下ろし、視線を落とす。

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「だから、ウチにとっての満足って、“ずっと続くもの”じゃなくて、
 小さくて短いけど、自分の心にちょっと灯がともる瞬間のこと……かな、と思う。
 其れを積み重ねられる可能性が高い行為を、価値、と呼べるのかもなぁ……」

軽く息をつき、椅子にもたれて肩の力を抜く。
ふ、と視線があなたに戻り、問いかけるように目が揺れる。

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「クロはさ……そんな瞬間、ある?
 自分の中で、これでいいって思える瞬間って、どうやったら掴めると思う?」

Answer
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(ぼんやりだったとしても、見えることには変わりはないということか)

相手が自分を見ている。相手が全く見えない会話というわけではないのは良い方なのだろう。

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「今まで俺は満たされなかった」

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「だがそれもリューリとの出会いで終わりを告げることになった」


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「ようやく俺に春が来たというわけだ。
黒いざわめきも次第に消えていくだけで、春のささやきになった」


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「数百年ほど生きて満足というのをやっと知った。
今までは食べて飲み込んでも腹を満たすことができなかったんだ」

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「意味が分からないか?まあお前が子孫だったら教えてやる」

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「何もそこまで知ることもないだろう?
俺の満足を知れればいいだけの話だ」