Chapter04-02

記録者: 御守 瑠海 (ENo. 140)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-21 04:39:12

クリックで開閉
彼の視線は壁へ、床へ、そしてあなたへ。
どこかで落ち着きどころを探しているようだったが、
それは“怖がり”というより“状況を整理しないと落ち着かない”という
彼の性分そのものに見えた。

魔女の弟子はあなたの答えを丁寧に聞き取った後、
目元にわずかな影を落として考え込んだ。

icon
「有難う御座います。
 ……参考にさせていただきます、うちの師匠が
 この部屋と似たような事をやらかしかねないので……」

……どうもこの魔女の弟子は苦労人らしい。
破天荒な魔女に振り回されているタイプの弟子なのかもしれない。

icon
「……もしよければ、もう少しだけ質問をしてもいいですか?
 またいくつか問い掛けないといけないようなので……」

何かを確かめたような視線の動きの後、そう口にした。
どこかに〝猶予〟が記されでもしているのだろう。

icon
「僕……こういう“空間の乱れ”みたいな現象には何度か遭遇してきたんです。
 主に師匠の……ああ、いえ、魔女の実験の副作用なんですが。
 でも……今回のは、それとは“質”が違う気がするんです。
 形は似ていても、根本が違う……というか」

icon
「……異なることわりと接触する橋の上に居るような、
 世界のあいだにいるような、そんな……」

そこまで言って、息を呑む。
それは不安や恐怖を呑み込むような仕草にも似ていて、
けれどもそれを貪欲に知りたがる様な研究者的な好奇も滲んでいた。

icon
「あなたは今までこうやって──
 異世界と接触するような状況に遭った事はありますか?
 ……無かったら、この部屋で他人と出逢うことに……どんな気持ちを抱いてますか


──あなたは異世界に関わりを持ったことがありますか?
──また、この部屋での邂逅をどう思っていますか?


Sample
icon
「……似たような経験はしてると言ってますけど、
 実のところ異世界と交信みたいなことは経験が無くて……。
 まさかこうして異世界と関わりを持つなんて!」

魔女の弟子は指先をそっと胸元へ寄せる。
息を整えるように、深くひとつ吸って──それから微かに笑った。

icon
「こうやって断片的にだけでも話せて、楽しい反面……怖いです。
 “未知”って……危険とは限りませんけど、油断も出来ないですから」

icon
「僕は……きっと異世界に関わるような事があったら、
 怖いと思いながらも……関わりたくなっちゃうとは思います。今みたいに。

 『魔女の弟子』だという外聞が無くなって『ただのアルヴェン』である場所でも、
 きっと僕は、『魔女の弟子』であることを喧伝しながら、異世界に関わるんでしょう」

icon
「……思った以上に僕、
 『魔女の弟子』である事に誇りを持ってるみたいです」

あんまり参考になる意見じゃないかもな、と恥ずかし気に頬を掻いて、
あなたはどうですかと改めて魔女の弟子はあなたにトイカケを差し出した。
Answer
icon
「そうだね、少し僕の話をさせてもらおう。
 僕が十分に自立できるほど成長したある日、父が突然理想郷を探して旅に出るといったんだ。
 僕は快く見送りはしたが、それはそれとして父の望む理想郷があるかは半信半疑でね。
 それで、父が残した探求記録を色々と調べるようになってね。
 その過程で父の協力者であった者と出会った。
 名前は出さなくてもよいか。そうだね、彼でいい。
 彼は異世界について研究していた。」


さて、どこまでを話したものか。
情報の精査が難しいな、全てを話すのは長くなるだろうし、何より彼も望んでいない。


icon
「ふむ、そうだね。初めのことだけでいいか。
 彼は異世界を観測するところまでは出来ていた。
 だが、その先、異世界への渡航は二つの大きな問題に阻まれていた。
 まず第一に、エネルギーが足りない。我々の用意できたエネルギーは必要とする想定量の半分以下だった。
 第二にこちらの世界で他の世界とつながりやすいゲートを作れても、それとつながるゲートを異世界にまでは作れなかった。
トンネルを掘りたいのに半分掘ったところで挫折したという訳だ。
 そこで僕は他の世界に既に渡ることのできる技術を持った異世界を利用するように提案した。
 穴を山の半分しか掘れないなら、既に空いているトンネルの側面をぶち抜けばいい。
 エネルギーだって、向こうの世界が使っているものを利用すればいい。
 僕たちは異世界に通じるゲートをジャックして、片方の出入り口を僕たちの世界につながるようにした。
 まぁ、こっぴどく怒られたさ、当然ながら。
 ただ、おかげで向こうの技術を提供してもらって、好きに世界を渡れるようになったけどね。」



あとは、この邂逅についてどう思ってるかだっけ?
それはまぁ、一言でいいか。

icon
「思考を整理できて、いい出会いだと思っているよ。」