冷や汗が背中を伝い、呼吸が浅くなっているのに気づく。
一度、ゆっくり息を吸って、吐いた。
次のトイカケは──
「変われないものがあるか」、だった。
先程の質問よりかは息がしやすいモノであって安堵する。
トイカケる相手が僕でやり辛いだろうな、と自分でも思って、苦笑いしかでてこなかった。
どうしてそんな問いが出たのか、尋ねてみると、
「変わりたいけど、今の自分がなくなってしまいそうで怖い」
──そんな答えが返ってきた。
自分にはない視点で、少し興味が湧いた。

「今の自分を無くしたくないってことはさ、
シロは、シロのことを気に入ってるんだと思うんだ

発言内容……ソレだったら、今のままでも良いんじゃないかな、無理に変わろうとしなくても、さ」
今の状態を、心地よいと感じるのであれば、無理に崩す必要はないと感じた。
つらくて、苦しくて、
それでも変われなくて。
――終わらせるしかなかった結末を、思い出してしまうからだ。

「それでも気が付かないうちに変わって、成長して……あとから変わったなって気がついて、変わった自分のことも好きでいられたら……それが1番いいってことなんじゃないかな」
質問への直接的な回答を避けたが、きっと求められているのはこういうことなのだろう。
僕は上手に作り笑顔をして、これを回答とした。