
「もしそういう事なら──……」
あなたの答えを聞き、何か考え込むように魔女の弟子が視線を外す。
思考に入り込もうとしたところで、ふ、と何かに気付いたか
言葉を止めて部屋のある方──先の時にも見ていた方に目をやって、あ、と小さく零した。

「……次の問いが最後みたいです。
ほらあそこ……見えませんか?」
魔女の弟子が指し示す方には何も見あたらない。
〝あちら側〟の椅子に座った者にしか見えない、
カウントなのか、時計なのか、何があるのかは分からないが、
何にせよ次のトイカケが彼の最後のトイカケだろう。

「え、えーっと……何の話でしたっけ……。
……この部屋の話でしたね」

「……この部屋がどういう目的のものか。
あなたの言った通りかも知れないし、
もしかしたら全くの的外れでもあるのかも知れない。
答え合わせは僕たちには出来ないのが、ちょっともどかしいですね」

「……ただ、この部屋が
誰かが僕たちを見るためのものであった、なら──……」
魔女の弟子は、何かを見ようとするように顔を上げる。
自分たちを見る目を見ようとするように、部屋を斜め上に見上げていた。

「あなたは……
この白い部屋に“最後にひとつ言葉を残す”としたら、何を言いますか?」
──あなたはこの部屋に言いたい事はありますか?
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「……僕だったら、そうですね」
一度唇を結び、考えを整えるように胸の前で指先を揃える。
迷いと、少しの怖さと、でも確かに自分の言葉を選ぼうとする意志がある。
言葉がまとまったか、再び観測者を探すように顔を上げた。

「僕たちを選んだ理由が、どうか“意味のあるもの”でありますように」

「……あ、次に誰かを呼ぶときは。
その人が怖がらないようにしてあげてくださいね~……」
なんて緩い言葉を添えて、はにかみながら
あなたはどうですか、と視線が問い直した。