ー推奨:読み飛ばしー
ダラダラと長いお話が書いてあります。読み飛ばせるなら飛ばしてしまった方がいいです。読んでも読まなくても、話の進行上は問題ありません。

優希
「えっと…待って?あの…」
状況が整理できない。
えっと…この人が…大怪我で入院してきたのが一昨日で…そんで…

湊
「えぇっと…すいません、わからないですよね色々。そうだな…まず…自分、湊って言います、薄灰黄湊。そんで…えっと…」
…なんか、どこかで聞いたことのある名前が出てきた。
…どこで聞いたんだっけ…思い出せない。
頭を悩ませている間も、湊と名乗った女は話し続けている。

湊
「なんて言うか…自分、ちょっと特異体質で…」
ここでピンときた。

優希
「特異体質?ちょっと…その話、詳しく聞かせてくれないか?」
食い気味で聞く。そういうことなら、名前が聞いたことがあることとも、何かつながるかもしれない。
まあ…向こうは当たり前だが引いている。だってそりゃあそうだ、こんなガキが食い気味で人の体質のことを聞いてくるのだから…

湊
「え、えぇ〜っと…」
…いや、どっちかと言うと困っている。どう説明したものかと言う顔をしている。
どうやって引き出すか。いや…それ以前にもう一つ大事なものがあった。
気になりすぎて、わざわざ自己紹介をして貰ったのに、私から自己紹介を返すのを忘れていたのだ。

優希
「いや…すまない、まずは私からも自己紹介をすべきだったね。
…私は優希。楓優希と言う。…元研究員だよ、このナリだけれど…」
名前を名乗った瞬間、相手は表情を変えた。さっきまでの困り顔だった彼女はもういない。
そこには…なんだか挑戦的な表情になった彼女が、納得したかのように突然、砕けた口調で話し始めた。

湊
「カエデ…?…じゃあまさかあんたが、件の事故の生き残りなのか。…それなら…話が早い。」
納得したと思ったら……今…私のこと例の事故の生き残り、って、今、言ったか?
まさか……こいつ、あの事故を知ってるのか?怪我してるのが何か関係あったりして…
探りを入れようとすると、しれっと彼女は再び、私が気になっていたことについて話し始める。

湊
「あ〜っとね…なんで?って顔してるね。…順を追って話すよ。」
そのまま詳しい話を聞いたところ、どうやら"アレ"の回収に駆り出されていた、警察の人間だったらしい。
名前を聞いたことがあったのはその中でもエリートだったから。ただ、もう一つ他に理由があったようにも思えるが…ここも思い出せない。
まあ、厳密には警察とはまた別の、この国にあるまたひとつのデカい機関なのだが…そこら辺はややこしいから置いておく。
ちなみに、この病院も彼女の所属している機関の管轄のものだ。
なんて、色々考えながらさっきの話を思い出しているうちにm重要なことを聞き逃していたことに気がついた。
こいつ…、"アレ"と同じ分子を持ってる、ってさっき言ってなかったか…?
…思い切りスルーしてしまった…。

優希
「…なあ、同じ分子を持ってるって、どう言うことだ…?お前もアレと同じってことなのか?」
疑問はそのままぶつける。彼女は、またなんて言ったらいいかな〜なんて顔をしながら、軽く説明をしてくれた。

湊
「あーえっとね…厳密には俺はアレの劣化版だよ。アレよりも昔の結果が俺なモンで。そんでもって半分は人間だし。」
半分人間なんだ…それで入院…。全身がそうなら、入院の必要なんかないぐらいハンパない回復力だし、納得。
けれども、"アレ"は人体に投与すればみるみるうちに人間を飲み込んでしまうはずだけど…一体どうやって彼女みたいなキメラ的人間が生まれたのだろうか。
…まあいい、今はこんな話追求してもな。
ひとまずこの話を聞いて、彼女の体の傷の治りが異常なほどに速いのも納得した。
ほとんど再起不能に見えたけれど…そういうことならまあ、死なないのだろう。
…てか…こんな偶然、あるんだな…。いや、必然なのかも。
この施設は多分そこら辺きっちりしてるんだろうし、わざわざ同室にした可能性も高い。
…まあ、多分…図られたな…。

優希
「それで…アレはどうしたんだい?……なんでも…私の父の仇なもんで。末路が気になる。」
そうして、色んな疑問が晴れた私は、次に奴への殺意が戻ってきたらしい。
…ちょっとは元気になってるじゃん、なんて自分に言いながら、その殺意のまま彼女に言葉をぶつけてみた。けれどさらりとかわされて…私には期待していた以上の答えが返ってきた。

湊
「やっぱあんたが娘だったんだな。……潰したよ、流石に。……現代の最先端の技術をもってしても閉じ込めて置けないなら、これ以上はどうにも。」
まあ、うん…そうだよな…なんて思っていたけれど。
潰した…ってことは、あいつは今頃あの世に…なんて呑気に考えていたが…どうもおかしい。
あいつは不死身って研究結果じゃなかったっけか?

優希
「待て、潰した?!?!?!潰せたのか?!?!あの不死身の化け物を?!?!?!どうやって?!?!」
アレは、何をしても殺せない不死身だと言う結果しか、今までは出ていなかった。
多分、再生し切る前に潰し切れば、殺せるという話はあったが…どう頑張っても潰し切る前に再生してしまうから、実質不可能だったのだ。
普通の人間で太刀打ちできるほどアレは弱くない。
けれども彼女がただの人間でなく…同じ分子持ちなら…。
つまり同族同士と言うことで、わざとかち合わせたんだろう。
…まさか同族同士で殺させるだなんて、考えてもみなかった。うちに託された個体は1体だけだったから、この世界には1体しかいないと思っていた。……いや、確か私たちはそうだと知らされていたはずなんだけれど。
この世は闇が多いな。やはり。

湊
「えーっと…研究者なのに知らされてなかったんだな…?俺らの弱点は頭だ。全部再生し切る前に潰せばどうとでもなる。体力だって無限にあるわけじゃないから、弱点じゃなくても潰し続けりゃ回復させる力も弱くなる。だからそれを狙っての耐久戦って感じ。」
さらりと言う。死にかけていたのに、まるで恐怖なんて全くないようなもののように。

優希
「………いや、知らされてないわけじゃな…待て、弱点なんかあったのか……。……と言うかまあ、それでも同類同士じゃないと潰し合えないことはよくわかったよ。…君に対してもすごかったろうに、よく生還できたね?」
そうしてあまりにもぶっ飛んだ話に目を白黒させながら、必死で私は脳内メモに色々書き留め続けていた。
ここは…死んでも腐っても研究者というわけだ。己の性は簡単には変えられない。
ちょっと嫌になっちゃうね。

湊
「そこは経験の差だな。あと数の暴力。…つっても半人と人間2人だけど。1対3なら人間でも強い奴なら殺すことぐらいはできる。…理論上は。」
一つずつ、淡々と。まるで機械が計算しているかのようにスラスラと、対処の仕方が出てきて、恐ろしくなる。
目の前にいる彼女は、殺戮マシンなのではないか、なんて恐怖が、徐々に頭の中に湧いて出てきたのを、気づかれないように蓋をして。

優希
「馬鹿げてやがる…、こっちじゃ、ポット入りですら何しても無理だったのに…」
"アレ"に関しては、そのポットからすら逃げられて、ああなってしまったわけだから…正直、力や戦闘能力のない者たち…いや、あっても、私達ではどうにもできなかっただろうという現実を目の前に突きつけられた気分になった。
ただ…人間でも数がいれば太刀打ちできるなら…もしかすると、私が強ければ助けられたのかもしれない。そんな疑念が、荒んだ心の奥底から芽生えてくる音が聞こえた。

湊
「ま、…こっちは毎日命かけてるんでね…色々突き詰めておかないとダメなんだ。あ、そうだ。明日にはもう出てくよ。怪我もほとんど塞がってる…いや、まあ微妙だけど、仕事が嵩んでてね…」
なんか、思っている以上に例の機関は忙しいらしい。
と言うか…1人欠けたら仕事が嵩む…って…まさか人数が足りていないんじゃないか…?
なんて、怖がっているのに彼女に心配をしてしまったり。

優希
「いや…あんたも若そうなのに大変ね。いや…まあ私も人のこと言えないけど。多分あんたのが歳上だよね?私14だけど。」
ふと、みた時初めに思ったことを思い出したからそのまま、口に出してみた。
やけに若い人が運ばれてきたな、なんて初日は思ったもので。

湊
「え…よくわかったね?今まで初見でティーンだって見抜けた人いなかったんだけど…。」
…いや、驚いた。なんとなくそうかな?という疑問は見事に的中していたらしい。
それにしても多分まだ高校生と同じぐらいの年齢だろう。それなのに機関に縛られて仕事をさせられてこんなになるなんて…反乱を起こされても、機関は文句を言えないのではなかろうか。
と言うか、そんなところになぜ彼女は留まり続けているのだろうか…?
いや、これはまた聞く機会があった時に聞こう。とりあえず質問に答えを返さねば。

優希
「ま、まあ、大人だけならたくさん見てきたからね。なんか…多少はわかるらしい…?」
よくわからなかったからそれっぽい適当をこいて誤魔化して。
彼女の返事はふぅん、だけだった。
なんか、思った以上にかなりさっぱりしてるような、この人…。

湊
「まあ、苦労してるガキ同士って訳だね。てか、……そうだ、そう言えば…現場検証とかもしなきゃだったんだけどさ、あんた来れる?…しんどいかもだが、ちょっとアイツを殺す作業に手こずったせいで現場が崩れちまってな…。できれば研究員やらあんたの父親らの最後の立ち位置がちょっとでもわかるとだいぶ助かるんだけど。」
早口で情報量の塊をぶつけてくる彼女の声を必死でたどりながら、理解を進めていた。
話の中頃。…衝撃が走った。まあ、アイツは結構荒くれ者だったから、自由になってしまえば大暴れすることは目に見えてはいたが…そんな検証ができないほどになってしまっていたなんて。あいつらの力ってどうなっているんだ…?
やはり、あの研究は言われていた通りしない方が良かった系の実験だったのかもしれない、なんて遅い後悔を抱きながら、とりあえず私は話に乗ることにした。

優希
「……なんか報酬は?」
1番重要なことだと思うことをまず聞いてみる。タダ働きだったら絶対断ってやるからな、という覇気を込めて。

湊
「あんたの身の潔白。色々言われてたろ?あとは…多少は包んでやれる。それと………直接言うのは流石に、なんだけど…、お前の父親らなんかの遺品探しもする。どうd…」

優希
「行く」
もちろん即決だ。正直、あの日は心身の余裕もなくて、それどころではなかった。
思い出の品の一つぐらいは、彼の所有物だったものの一つぐらいは…私が所持していたい。
忘れないように、忘れたくないから。
そうして私は迷いなくその話に乗った。

湊
「いや即決すぎだろ……。まあ、でも正直かなり助かる。他の目撃者も教えてくれたら嬉しいが…それはまた後でいい。とりあえず向こうに連絡しとくからそのつもりでいてくれ。」
思った以上にサクサクと事が進んでいく。正直この身体で行くのは心配だが…まあ現場はもうアレもいないようだし、おそらく大丈夫だろう。
頼めば先生とかも付いてきてくれるかもしれないし。

優希
「…そう言えば、あんた明日出て行くなら…連絡手段は?…交換するか?」
今全部決めてしまってもいいのだが…そんな爆速で事を進めることもないだろう。
なんて、私はのんびりと連絡先の交換を持ちかけた。

湊
「あ〜…そうだね、忘れてた…。とりあえずL◯NEでいい?」
ペポン。
そうして、その日は一日中このことについて話していた気がする。
あまりにも私がマシンガンのように質問するもんだから、彼女の包帯を替えにきた看護師が引きまくっていた。
色々思うことはあるが…これが終わるまではひとまず、生きてみようかと思った。
アレって何?
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
通称ダークマター
人間や動物の細胞なんかを培養・融合させることを繰り返してできた、蠱毒の塊ような物体。恐ろしいほどの治癒能力があり、意思を持ち生きている。人間と同等の知能があって、非常に危険。人間がこいつらのエネルギーのため、人間を取って食う。死体でも大丈夫ばので餌は基本的に死体。
」
」
<以下検閲済み>
」
」
人間の⬛︎⬛︎も彼らのエネルギーとなり得る。死体がない場合は人間1人を同じところに閉じ込め、⬛︎⬛︎⬛︎させておけばなんとかなる。意思の強い人間でないと⬛︎⬛︎に負けるため要注意。