Chapter05-02

記録者: Πολύτιμος λίθος ρουμπελίτης (ENo. 204)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-17 04:00:00

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「私はね……愛って、とても厄介で、
 でもどうしようもなく惹かれるものだと思うの。
 血みたいに温かくて、時間みたいに残酷で、
 それでいて、どんな者でも変えてしまう」

あなたの言葉を聞いて、吸血鬼はぽつりと自身の考えを零す。

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「あなたの言う事はきっと正しくて、
 それでいて間違っているのでしょう。

 明日のあなたに訊いたら、5年後のあなたに訊いたら、
 5年前のあなたに訊いたら──きっと違う答えが来るの。
 愛ってきっと、それだけ不確かな事だわ」

彼女は細い足を組み替え、椅子の背に体を預ける。
真っ白な部屋の中で、その赤い瞳だけが深い影を帯びていた。

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「そう思わない?」

軽く首を傾げて笑うと、その笑みはころころと転がるように形を変える。
無邪気にも見えて、どこか深い絶望すら含んでいるような、不思議な笑み。

やがて吸血鬼は小さく手を合わせ、軽い音を鳴らした。
その一拍で、空気がまた別の問いへと向きを変える。

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「さ、次の問いに行きましょう?
 あなたは──愛に伴う不自由さについて、どう思う?

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「縛られる側としてでも──縛る側としてでも、
 どちらでもいいわ。少し考えてみて?」


──あなたは愛によって自由が縛られる事についてどう思いますか?
Answer
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「このまま僕が続けたほうがいいよね」

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「そうですね、私は、愛が何かを縛るような関係は持っていませんから」

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「僕は…『彼女の世界にいる』ことは『縛られている』と解釈することはできる…か。
ただ、『不自由』と言われると、違和感はあるかな。
不自由なことは発生していないと思う」

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「不自由の逆が『自由』なのだろうから、なにか自由が効かないことが起きているだろうか、と考えた時。
自由でないことといえば、『僕も彼女も他の伴侶を選択できない』になるのかな、約束をしているから。だけど、僕はそういう自由はいらない。彼女もそう…思ってくれてる…と、思う…。
自由でないほうが安心できる、心地よい、ってこともあるんだ。もし僕が、彼女の気持ちが掴めなくて、気持ちが宙に浮いたままだったのなら、そのほうがずっと落ち着かないし、安心できない。気持ちや立場は自由かもしれないけれど、自由じゃなきからこそ、安心を手にできているとも言える」

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「僕には、ほかに『自由と相反するもの』は思いつかないし、その制約こそが、愛が得られているからこそ安心できる居場所を作ることにもつながるんだ。だからそこは『制約』で『約束』であっても『不自由』というイメージではないってことになるね」