Chapter05-02

記録者: ダミアン・ガルーナ (ENo. 145)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-17 04:00:00

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「私はね……愛って、とても厄介で、
 でもどうしようもなく惹かれるものだと思うの。
 血みたいに温かくて、時間みたいに残酷で、
 それでいて、どんな者でも変えてしまう」

あなたの言葉を聞いて、吸血鬼はぽつりと自身の考えを零す。

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「あなたの言う事はきっと正しくて、
 それでいて間違っているのでしょう。

 明日のあなたに訊いたら、5年後のあなたに訊いたら、
 5年前のあなたに訊いたら──きっと違う答えが来るの。
 愛ってきっと、それだけ不確かな事だわ」

彼女は細い足を組み替え、椅子の背に体を預ける。
真っ白な部屋の中で、その赤い瞳だけが深い影を帯びていた。

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「そう思わない?」

軽く首を傾げて笑うと、その笑みはころころと転がるように形を変える。
無邪気にも見えて、どこか深い絶望すら含んでいるような、不思議な笑み。

やがて吸血鬼は小さく手を合わせ、軽い音を鳴らした。
その一拍で、空気がまた別の問いへと向きを変える。

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「さ、次の問いに行きましょう?
 あなたは──愛に伴う不自由さについて、どう思う?

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「縛られる側としてでも──縛る側としてでも、
 どちらでもいいわ。少し考えてみて?」


──あなたは愛によって自由が縛られる事についてどう思いますか?
Answer
顔を覆って照れていたが、答えを聞いたのか聞いていないのか、アマリエの言葉を聞いてハッとしたように顔を上げて、照れ笑いを浮かべるだろう。

「確かにそうだね、そうだと思う。今の俺はさっき言ったのが愛だと思うけど、小さい頃の俺とか、もっと大人になった俺がが思うのはまたきっと変わるよね」
「その全部が本当で、でも今の俺から見たら違うから、本当じゃないとも言えるんだね。難しいね、愛って」
「アマリエちゃんは封じられてるから自分のこと誰も知らないだろうって言ってたけど、一人なの? 俺と話すのが少しでもアマリエちゃんにとって良い時間になると良いんだけど」

不思議な笑顔を浮かべる少女の境遇に思いを馳せて、鋭い金色の瞳に心配を浮かべているだろう。
しかし、空気が変わって次の問いかけを受けて、その瞳を瞬く。

「愛に伴う不自由さ…? うーん、好きな人を独占したかったり、あるいは独占されたり、みたいなそういうことかな?」

ゆっくりと金色の瞳を瞼の裏にしまって、少し沈黙して考え込む。再び覗いた金色の瞳は鋭く光っていただろう。

「ココだけの話で、正直に言うならさ、好きな人は誰にも渡したくないと思うよ。俺だけのものにしたいって」
「でも、好きな人が他の人と楽しそうにしてて、それがすっごく羨ましくて妬ましいけどさ、でもそれ以上にその人が楽しそうなのが嬉しいって思うから、別にいいよって思ったんだよね」

いつか、どこかの思い出を思い出すように視線を遠くに向けて、鋭い眼光をゆるく微笑ませる。

「それに、俺だってきっと、好きな人とだけずっと一緒にいて、ずっと喋ってて、それだけじゃいつか好きな人のことを好きじゃなくなっちゃう気がする。比べるのは違うけど、友達とかとの時間とかも大事にしたいと思うし」
「だから、うーん、そうだなぁ、あんまり縛りたくないし、縛られたくない、かな? ちょっとならしょうがないと思うけどね」