
優希(クロ)
「そう?あーいや、まあ…………一連の話を聞いてもう分かってはいると思うが………私は、逆に他人なしでは生きられない。………さぞ贅沢な人間だよ。自分の行き先ですら自分で決められない。」
他人を、人を愛しすぎて、求めすぎて。
それを全て失って、私はそのまま壊れてしまった。
元々壊れかけていたんだ。それを、手を繋いで防いでくれてた人たちがいたんだ。

優希(クロ)
「自分の価値なんて…最初から無いようなものだと思っている。だって…」
けれど…その人たちすら失ってしまった今、壊れそうな心を支えてくれる人なんて、誰1人いなかった。
だから、音を立てて、派手に壊れてしまった。
今の私は、座って思考を垂れ流すだけの機械人形のようなものに成り下がったのだ。

優希(クロ)
「私を認めてくれる人がいなかったら、私は何をすればいいかすらもわからないんだ。」
歪み切ってしまったんだ。長いようで短い、子供の間に、全て。
自分のやりたいことがわからない。
どうやって過ごせばいいかわからない。
他人が、怖い。

優希(クロ)
「私は、褒められることは嬉しかったけれど…その裏で、実際愛する人たちの役に立ち続けることしか考えて生きてこなかったからね。他人のために動き続けるのも、またわたしの中の普通さ。だから………そうだね、キミにとっては、わたしの意見はあまり参考にならないよね。」
さっきから言っているが、彼女と私は、どうやら本当に真逆の感性をしているらしい。
彼女の意見がわかるようでわからないから、非常に興味深いもので。
けれど、これを知ってしまったら、私は…
いや、今は考えないでおこう。興味深いものを追求するのが研究者なのだから。
あーあ…メモするものでもあれば良かったんだけれど…あいにく夢にはそんなもの持ってこられないから。

優希(クロ)
「キミはいいね、そうやって自分への価値をちゃんとつけられるんだから。………私は、自分のことが大嫌いなんだ。だから………」
人の役に立ち続けることだけが、私が、私に価値を与えつづけることが出来る。
そうでなかったら、私は生きている意味すら見出せない。
だって、誰の役にも立っていない私なんて、居てもただの邪魔なガキじゃないか。
巡る考えに、どんどん苦しくなって。早く次の質問が来ないかと、私は目の前の彼女を見つめ続けていた。