Chapter02-01

記録者: レーゼル (ENo. 74)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-14 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

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「あれ?」

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「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

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「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

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「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

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「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

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「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

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「んー?またこの部屋?」

見覚えのある白く殺風景な部屋に、一つの椅子。
相変わらず自力では退室できないようなので以前のように椅子に座ってみる。

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「あれ、今回はオブザーバーさんじゃないんだ?
 なんなんだろうねこの部屋」

気怠げに椅子に凭れつつ、目の前に現れた人物から問いかけられれば
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えっ、それを子供に訊くの?
 いや、僕が相手だからこその質問?」

んー、と暫し考えた後

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「僕の元居た世界じゃ18才になれば成人オトナっていう扱いになるよ。
 でも年を取ったからって中身まで大人になってるかって言ったらそうじゃないと思うんだよね」

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「インターネットなんかでも大人げない大人はいっぱい見たし?
 うちの親だってまだ子供っぽいところは有るしね」

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「ああ、でもあの世界ステラボードで出会った人達の中には大人だなーって思う人が何人か居たよ。
 結局のところ精神年齢の問題なんじゃない?」

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「僕の世界の人々は君の言う『死んだ曲をずっと流してる人達』ばかりに見えたし。
 それは子供とか大人とか関係無かったから大人が楽しいものなのかはよくわかんないや」