Chapter02-04

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-14 04:00:00

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風が通り抜けるような軽い笑い声は相槌のように。
ずっとにこやかに話を聞いている少年は、納得したみたいに数度頷いた後。

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「うんうん!じゃあ次は……ちょっと似たような質問なんだけどさ」

明るさはそのまま、けれど瞳の奥に──ほんの少しだけ鋭さが宿る。

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「君は自分が“正しい”と──思ってる?」

問いかけるトーン自体は軽い。
けれど、その笑顔の裏側から何かが覗く。
あなたの返答を待つ足は楽しげにぶらぶら揺れているのに、
視線だけは、明確に「答え」を探している。

子供の遊びのリズムの中に、
ほんの少しの、刃のような期待。

──あなたは自らを“正しい”と言えますか?

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「僕はさっき言った通り!
 自分の事を正しいと思うから、自分がみんなに聞かせている音が正しいと思っているから、
 僕は笛を吹くし、みんなを導くんだ。だってそうでしょ?」

軽やかに笑いながら、しかし言葉には確信がある。

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「ずっと働かなきゃいけない閉鎖的な村も、
 つまみ食いしたら一日ご飯をもらえないのも、
 重い税金も、いじわるなおばあさんも、変わらせてくれない。
 間違ってるから──導いてあげなきゃいけないでしょ?」


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「自分が正しいって信じてる人はね、迷わずに進めるんだ。
 曲が途切れないんだよ。ほら、楽譜って止まるとそこで“死んじゃう”からさ」

どこまでも明るい声で、
どこまでもまっすぐに、
少年は“正しさ”を語っていた。
──それで、あなたの答えを待っている。
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ひとみん
「…あたしは…自分のことは信じてるけど、それが正しさだなんて微塵も思ってないよ。だって…こんな汚い仕事してるんだ、見つかったら捕まるぐらいのさ。……それが…正しいわけないだろう?」

元々、やろうとも思っていなかった。そのまま死のうと思っていたんだ。
けれども…そうすれば、私に課されているこの借金は、私の親へのしかかっていくことは明確だろう。

私には…もちろんそんなことできない。何せ、片親で育てきってくれた親父に、これ以上恩を仇で返すなんて…私にはできない。
…だから、例えこの仕事が間違いであろうと、私はやり続ける。

………早く親孝行がしたかった、それだけの一心だったのに、既に恩を仇で返してしまったから。
だから、私は今の仕事が世間で言う間違いでも、続けるつもりだ。

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ひとみん
「でも…あたしは、あたしの心の中の正しさは信じてるんだと思う。だって…迷ったことないし。」

それに、もう一つ働き続ける理由がある。

それは…病床に伏せている彼だ。

もちろん治療費なんかも必要だろうし、帰ってきてくれたら、食費も私の分と重ねて必要になる。
今は多分、そのための準備期間でもある。貯金もしながら、借金も返して、治療費と食費を分けて置いておいて…我ながら器用なことしているな、なんて。

医者は、彼は延命が得意分野だと言った。言ってくれた。なら…もちろん、相応の治療費ぐらいは、出す覚悟もある。いや、出させて欲しいぐらい。

それぐらい、彼は私の生き甲斐でもあった。1人欠けてしまっても、それは変わらなかったんだ。

結局……私は自分の正しさのために間違いを犯し続けていると言うことになる。
まあ、悪くはないな。私にもそれなりの覚悟があるって訳だし。

けれど…この借金がなくなったら、どこかでみんなと隠居生活でもしようと思っていたのだけれど、今はそれどころじゃないなぁ。

とにかく、状況が少しでも好転して欲しいと思う。
多分、彼まで居なくなったら…借金を返し終わった後は多分、私は⬛︎⬛︎でもしてしまうから。

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ひとみん
「…うん、あたしは…自分の中での正しさのために、間違いを犯し続けて生きてる。…今、いろいろ考えてたんだけど…1番しっくりくる表現はこれかな。…まあ、うん、言いたいことはわかるよ。……なんか矛盾してるって。」

矛盾していても、これが私の考えで、これが私の生き方なんだ。

ああ、いろいろ考えててスッキリしたし…もう一つ、忘れていた生きていた理由も思い出した。
…もう少し、頑張らないとね。

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ひとみん
「………………まだある?時間はまだあるっぽいし。あたしでよかったら、だけど…」

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