Chapter02-03

記録者: 新庄 瞳 (ENo. 201)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-14 04:00:00

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奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

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「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

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「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


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「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

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「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

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「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

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「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
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ひとみん
「…正しい、とは…。」

つい、その言葉に、心の奥底にしまっていた苛立ちが蘇ってくる。

ダメだ、抑えろ。彼は何もしていない。

アンガーマネジメント。6秒ルール。苛立ちの、怒りの頂点は6秒と言う言葉を思い出して。
息を吸いながら、数える。
息を吐きながら、苛立ちを洗い流すようにして…もう一度私は口を開く。

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ひとみん
「…すまん、取り乱してた。」

自分へ言い聞かせるように頭の中で繰り返して、もう一度深呼吸して。
感情と口から出す言葉を整理してから、ゆっくりと自分を落ち着かせながら口を開く。

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ひとみん
「…正しいが何か。…それ以前に、私は"正しいが存在するのか"が…私にはわからない。………なんでか?そうだね…例えば、自分としては正しいことをしているつもりだ。けれど…周りから間違っている、なんて言われたら…それは、正しいでもあって、間違いでもあるようになる…。」

ただ、その中でも自分の正しさを信じられる人は幸いだろう。だって、他人の正しさを押し付けられても、無敵に跳ね除けられる。

勝手に悪いと、その人たちを裁くことだってできる強さや、残酷さなんかを気にならない心も持ち合わせているのだから、強いに決まっている。

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ひとみん
「つまり、私たちが信じている"正しい"、の裏にはね、全部"間違い"がある。一緒なんだ、どれもこれも。他人の匙加減で、正しいことが間違いと決まってしまうこともある。…………実は、私も、過去にそう言う経験があるんだ。……正しいことをしたつもりが、間違いにされてしまったことが。……その…さっき取り乱してしまってたのはまあ…ちょっと思い出しちゃったんだ。…なに、気にしないで。もう過ぎたことだから。」

…前、昔に人を殺したと言ったが、あくまでもあれは書面上・・・での話だ。

実際、私のいうことを聞かずに死んだのが被害者のやつだった。私は悪くない………はずだったんだ。

私は、機器の正しい使い方、正しいメンテナンス方法、正しい停止の仕方をこれでもかというほど被害者に叩き込んで。やってはいけないことも言い続けた。

それをやってしまっては、怪我の恐れが…いや、命の保証すらないことも、伝え続けた。

けれどあいつは、大丈夫だって!なんてふざけながら、やってはいけないことを私の目の前でやって、2度と帰らぬ人になってしまった。

…本当は、監視カメラを見れば、何が原因で、何がどうなったかなんて全てわかる。はずなんだけれど。…私の上司たちは、それを見たはずなのに、彼を悪としなかった。

しかも逆に、全ての罪は私に被せられた。まるで、他は何も悪くないとでも言わんばかりに。

理由は…多分、彼がお偉いさんの息子だったから、と言う理由だろう。

いや、それなら、私がしたことはなんだったのか。正しいことのはずだった、そうしなければならないことのはずだった。結局彼はこれに従わなかったから死んでしまったのに。

正直、今でも納得は行っていない。けれど…もう、間違いが晴れたとて、実名も顔も報道されきってしまった今、元の生活に戻れる道は…ないだろうね。

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ひとみん
「…すまない、重苦しい話になってしまったね。他に聞きたいことは?」

現実では、事実がそのまま受け止められることなんてなかったのだ。

だから、そもそも正しさという概念すら、間違いなんだと私は考えていた。